京都府感染症情報センターからのコメント(2017年第23週:6月5~11日) No.263
京都小児重症患者診療情報システム管理部 長村敏生
感染性胃腸炎は定点当たり7.38件と先週と同水準で、全国平均より高い状況か継続しています。流行性耳下腺炎、A群溶血レンサ球菌咽頭炎、咽頭結膜熱(プール熱)の発生数は特に変化はありません。
手足口病は定点あたり3.76件、京都市では4.17件と先週よりはやや減少しましたが、乙訓、京都市内の南区、伏見区、左京区、右京区に加え中丹東でも警報レベルとなっています。
全数報告対象の感染症は結核が8件、腸管出血性大腸菌感染症、A型肝炎、後天性免疫不全症候群がそれぞれ1件、カルバペネム耐性腸内細菌感染症、侵襲性肺炎球菌感染症、梅毒がそれぞれ2件報告されました。また、眼科定点から流行性角結膜炎が5件報告されています。
結核は依然として年間約2万人が発病する身近な疾患です。多くの先進国が10万人当たりの罹患率が10を切る低蔓延国であるのとは対照的に、日本は平成27年の罹患率が14.4で中蔓延国です。発病する患者数がなかなか減らない原因として、かつて結核が蔓延していた時期に感染した人が高齢化して免疫力が低下していることや、がんや糖尿病などの病気を合併していること多いためと考えられます。平成27年は新規患者の7割が60歳以上でした。発病者から空気感染し、症状がないまま静かに広がっていくことがあります。
結核の初期症状は風邪と似ており、受診が遅れがちです。咳や痰、微熱が2週間以上続く様な場合には医療機関を受診してください。また、京都府は検診受診率が低く、早期発見の遅れにつながっています。結核に限らず、積極的に検診を受診しましょう。
予防には乳児に定期接種が行われているBCGワクチンが有効です。接種できる施設についてはお住まいの市町村に御確認ください。
京都府感染症情報センターホームページのアドレスhttp://www.pref.kyoto.jp/idsc/