京都府感染症情報センターからのコメント(2017年第24週:6月12~18日) No.264
京都小児重症患者診療情報システム管理部 長村敏生
感染性胃腸炎は定点当たり7.84件と先週よりやや増加しています。流行性耳下腺炎、A群溶血レンサ球菌咽頭炎、咽頭結膜熱(プール熱)の発生数は特に変化はありません。
手足口病は定点あたり4.28件、京都市では4.15件と先週と大きく変化はみられず、乙訓、京都市内の南区、伏見区、左京区、右京区、中丹東では警報レベルが継続しています。
全数報告対象の感染症は結核が8件、腸管出血性大腸菌感染症が1件、マラリアが1件、破傷風が 1件報告されました。 また、基幹定点からはロタウイルスによる感染性胃腸炎が3件、眼科定点からは流行性角結膜炎が10件報告されています。
今週、4類感染症の一つである「マラリア」の報告がありました。マラリアは世界100カ国余りで現在も流行しており、年間で2億人以上が罹患し、200万人が死亡しています。日本での報告は海外で感染し、帰国後に発症する輸入例がほとんどです。しかし、マラリア原虫を媒介するハマダラ蚊は日本にも生息していますので、最近の旅行者の増加にあわせて注意が必要です。
感染した場合、潜伏期(熱帯熱マラリアで12日前後、三日熱マラリアと卵形マラリアで14日前後、四日熱マラリアで30日前後)を経て発熱で発症します。発熱、倦怠感、頭痛、筋肉痛、関節痛などが主要な症状ですが、腹部症状(悪心・嘔吐、下痢、腹痛)や、呼吸器症状が目立つこともあり、風邪やインフルエンザと誤診される場合もあります。
治療薬としてはクロロキンやキニーネなどの抗マラリア薬が知られていますが、世界の一部地域では抗マラリア薬に耐性を獲得しているマラリア原虫が報告されています。
マラリア流行地へ渡航する際は、抗マラリア薬の予防内服を行うことが望ましいとされています。さらに、蚊に刺されないよう注意してください。また、流行地に入ってから7日目以降にマラリアを疑う症状が出た場合、速やかに医療機関を受診してください。
京都府感染症情報センターホームページのアドレスhttp://www.pref.kyoto.jp/idsc/