京都府感染症情報センターからのコメント(2017年第38週:9月18日~24日) No.278
京都小児重症患者診療情報システム管理部 長村敏生
今週は府内で警報レベルの疾患はありません。感染性胃腸炎が定点あたり2.78件、RSウイルス感染症が1.81件とともに先週からやや減少しています。手足口病、流行性耳下腺炎、A群溶血レンサ球菌咽頭炎、流行性角結膜炎の発生数は大きく変化はありません。
全数報告対象の感染症は結核が2件、腸管出血性大腸菌感染症が2件、デング熱が1件、レジオネラ症が2件 、カルバペネム耐性腸内細菌感染症と侵襲性肺炎球菌感染症がそれぞれ1件、梅毒が2件報告されました。また、基幹定点からマイコプラズマ肺炎が2件、眼科定点から流行性角結膜炎が7件報告されました。
レジオネラ症はもともと土壌などの自然環境に存在するレジオネラ属菌への感染により発症します。冷却塔、給湯系、渦流浴などの人工環境においてアメーバと共生して増殖することが知られています。病原体に曝露された誰しもが発症するわけではありませんが、レジオネラ肺炎は市中肺炎の約5%を占めるといわれているため、肺炎症状を認めた際は尿中抗原検査などが重要となります。特に、高齢者や新生児だけでなく、大酒家、重喫煙者、透析患者、糖尿病患者など抵抗力の少ない人がハイリスク群となっています。予防として、感染源となる給湯系、冷却塔、浴場など水環境に対する衛生管理が重要です。治療は静注用のニューキノロン系薬が第一選択剤となっています。
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