京都府感染症情報センターからの情報

京都府感染症情報センターからのコメント(2017年第43週:10月23~29日) No.283

京都小児重症患者診療情報システム管理部 長村敏生

 

感染性胃腸炎は定点あたり3.64件と今週も先週からやや増加しています。手足口病は定点当たり1.56件と横ばいで推移しています。

RSウイルス感染症、流行性耳下腺炎、A群溶血レンサ球菌咽頭炎、ヘルパンギーナの発生数は大きく変化はありません。

全数報告対象の感染症は結核が13件、オウム病が1件報告されました。カルバベネム耐性腸内細菌感染症と急性脳炎がそれぞれ1件報告されました。

また、基幹定点からマイコプラズマ肺炎とロタウイルスによる感染性胃腸炎が1件、眼科定点から流行性角結膜炎が4件報告されました。

オウム病はオウム病クラミジア(Chlamydia psittaci)による人獣共通感染症です。感染様式としては病鳥の排泄物からの吸入が主体ですが、餌の口移しや、噛まれて感染することもまれにあるといわれています。鳥は保菌していても異常を示さないことが多いので注意が必要です。

オウム病の潜伏期間は1~2週間で、急激な高熱と咳嗽で発症します。軽症の気道感染症でおさまることもありますが、肺炎や髄膜炎を引き起こすこともあります。非定型肺炎ではマイコプラズマ肺炎や肺炎クラミジア肺炎とともに鑑別が必要です。確定診断にはペア血清の評価が必要となりますが、鳥との接触歴の確認が重要です。テトラサイクリン系、マクロライド系、ニューキノロン系の抗生物質で治療を行います。

妊婦では免疫力が低下しており感染の危険が高まりますので、ペットの鳥や公園の鳩などとの接触には気をつけてください。ペットで鳥を飼っている方は濃厚接触を避け、鳥が弱っている時や排菌が疑われる場合には、獣医の診察を受けさせましょう。

 

京都府感染症情報センターホームページのアドレス

http://www.pref.kyoto.jp/idsc/