京都府感染症情報センターからの情報

京都府感染症情報センターからのコメント

(2018年第22週:平成30年5月28日~6月3日)No.314

 

京都小児重症患者診療情報システム管理部 長村敏生

 

感染性胃腸炎の京都府全体での定点当たり報告数は、7.88件と全国的に上昇しています。その他の感染症の報告も先週までと比べて著変ありません。

全数報告対象の感染症は、結核が6件、細菌性赤痢と腸管出血性大腸菌感染症がそれぞれ1件、ウイルス性肝炎・急性脳炎・クロイツフェルト・ヤコブ病がそれぞれ1件報告されました。また、基幹定点の報告として、無菌性髄膜炎が1件、ロタウイルスによる感染性胃腸炎が4件、流行性角結膜炎が6件報告されました。

感染性胃腸炎の報告が増加しています。例年12月にピークがありますが20週前後にも増加し、夏に向けてやや減少していく傾向にあります。1歳前後が最も多く、5歳以下で約6割を占めていますが家庭内での感染拡大も懸念されますのでご注意ください。

クロイツフェルト・ヤコブ病の報告が1件ありました。クロイツフェルト・ヤコブ病は、正常プリオン蛋白が何らかの理由で伝播性を有する異常プリオン蛋白に変化し、主に中枢神経内に蓄積することにより急速に神経細胞変性をおこす稀な致死性疾患であるプリオン病の一種です。病因により、特発性(孤発性)、プリオン蛋白遺伝子変異による遺伝性、他のプリオン病からの感染による獲得性(医原性、変異型)の3種類に分類されています。2003年より五類感染症に分類されており、診断後7日以内に保健所へ報告することが義務づけられています。本疾患の有病率は100万人に1人前後で、男女差はなく、発病は50~70歳代に多く、わが国のサーベイランス調査によると、孤発性が76.5%、遺伝性が19.0%、獲得性が3.9%となっています。治療は確立されておらず、孤発性症例では進行が速く1~2年で死亡の転帰をとりますが、遺伝性や一部の孤発性症例は進行が遅く数年に及ぶものもあります。

 

京都府感染症情報センターホームページのアドレス

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