京都府感染症情報センターからのコメント
(2019年第26週:令和元年6月24日~令和元年6月30日)No.368
京都小児重症患者診療情報システム管理部 長村敏生
手足口病が先週よりさらに増加し定点あたり10.60件と報告されました。南丹15.00件、中丹東10.80件、丹後と京都市北区、下京区、東山区以外のすべての地域で警報レベルとなっています。
伝染性紅斑は、引き続き乙訓、京都市左京区、右京区、上京区、中京区、伏見区、南区で警報レベルとなっています。咽頭結膜熱が乙訓で警報レベルとなっています。また中丹西ではA群溶血性レンサ球菌咽頭炎が定点あたり6.67件と警報レベルとなっています。
全数報告対象の感染症は、結核が12件、腸管出血性大腸菌感染症が5件、腸チフスが1件、レジオネラ症が2件、劇症型溶血性レンサ球菌感染症・後天性免疫不全症候群・侵襲性インフルエンザ菌感染症と侵襲性肺炎球菌感染症がそれぞれ1件、百日咳が4件報告されました。
また、基幹定点から無菌性髄膜炎と感染性胃腸炎(ロタウイルス)がそれぞれ2件、マイコプラズマ肺炎が1件、眼科定点から流行性角結膜炎が2件報告されました。
手足口病の報告はさらに増加しており家庭内でも感染予防に留意してください。
サルモネラ菌の一種である腸チフス・パラチフスは、現在でも、日本を除く東アジア、東南アジア、インド亜大陸、中東、東欧、中南米、アフリカなどに蔓延し、流行を繰り返しています。衛生状態の改善により日本で発生するほとんどの症例は海外からの輸入感染症です。
10~14 日の潜伏期の後に39~40℃の発熱で発症し、比較的徐脈、バラ疹、脾腫が3 主徴とされています。原因菌はSalmonella enterica serover Typhiでありニューキノロン系の抗生物質が第一選択となります。しかし近年では薬剤耐性チフス菌が分離されており対応がとられています。チフス菌・パラチフス菌は人間にのみ感染し病気を起こします。
原因菌で汚染された食物や水が原因となるので、海外渡航時は生水や生肉の飲食を避け、帰国後発熱や下痢などの体調不良があった際はすぐに医療機関を受診してください。
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