京都府感染症情報センターからの情報

京都府感染症情報センターからのコメント

(2021年第47週:令和3年11月22日~令和3年11月28日)No.492

 

京都小児重症患者診療情報システム管理部 長村敏生

 

令和3年第47週の報告です。感染性胃腸炎は定点あたり3.29件とわずかに減少しました。手足口病も定点当たり1.89件と減少しましたが、手足口病は京都市南区、伏見区と乙訓、中丹西で警報レベルとなっています。全数報告対象の感染症は、結核が5件、カルバペネム耐性腸内細菌科細菌感染症と侵襲性肺炎球菌感染症がそれぞれ1件、梅毒が3件報告されました。また、基幹定点の報告はありません。眼科定点の報告は流行性角結膜炎が1件報告されました。

感染性胃腸炎とは、細菌やウイルスなどの多様な種類の病原体によって引き起こされ、下痢、嘔吐,腹痛、発熱などを主症状とする感染症です。ウイルス感染による胃腸炎がもっとも多く、毎年秋から冬にかけて流行します。

種類 原因病原体 備考
ウイルス ノロウイルス、ロタウイルス、エンテロウイルス、アデノウイルスなど ノロウイルスは食中毒が多い
細菌 カンピロバクタ、サルモネラ、病原性大腸菌(O-157等) おもに食中毒
寄生虫(まれ) クリプトスポリジウム、赤痢アメーバ、ランブル鞭毛虫など 海外渡航、汚染された水・食品

感染経路は、感染患者の吐物や下痢便で手が汚染され、その手が口に触れることで感染する接触感染と、汚染された水や食品からの食品媒介感染(食中毒)があります。病原体により異なりますが、潜伏期間は1~3日程度です。

■ロタウイルス胃腸炎では、白色下痢症ともいわれ、便の色が白っぽくなります。嘔吐、下痢、発熱がみられ、乳児ではけいれんを起こすこともあり、有症期間は平均5~6日です。感染しても無症状の場合もあります。ワクチンがあり、乳幼児を中心に接種を受けるよう推奨されています。

■ノロウイルス胃腸炎では、主な症状は吐き気、嘔吐、下痢、発熱、腹痛であり、小児では嘔吐、成人では下痢が多く、有症期間は平均24~48時間です。カキなどの二枚貝には調理するときは、十分な加熱処理をしましょう。なお、ノロウイルスの予防接種はありません。

これらのウイルス性胃腸炎には、特別な治療法はなく、症状に応じた対症療法が行われます乳幼児や高齢者では脱水症状を生じることがあるので、早めに医療機関を受診しましょう。特に高齢者は、吐物による誤嚥性肺炎を起こすこともあります。
日頃から、トイレの後や、調理・食事の前には、石けんと流水で十分に手洗いをする習慣をつけましょう。

新型コロナウイルス感染症の京都府内での発生状況については こちらをご覧ください

京都府感染症情報センターホームページのアドレス

http://www.pref.kyoto.jp/idsc/