京都府感染症情報センターからのコメント
(2022年第32週:令和4年8月8日~令和4年8月14日)No.529
京都小児重症患者診療情報システム管理部 長村敏生
令和4年第32週の報告です。
連休の影響か、今週は定点・全数とも全体的に報告は減少傾向です。定点報告では京都市右京区に発令されていたA群溶血性レンサ球菌咽頭炎の警報も解除になりました。全数報告は結核 2件、ウイルス性肝炎 1件が報告されました。
新型コロナウイルス感染症蔓延下でクラミジア、梅毒などの性感染症が増加しています。先週も京都府内でAIDSの報告が1件ありました。
性感染症は通常の性交渉(膣性交)以外のオーラルセックスでも感染します。オーラルセックスで感染する性感染症には淋菌感染症、クラミジア感染症、ヘルペス感染症、梅毒などがあります。(オーラルセックス(口腔性交)による性感染症に関するQ&A)
性感染症がふえるとHIV感染症も増えることがわかっています。またサル痘については米国で急激に蔓延しています。
さて、HIV感染症は米国で患者報告があってから40年以上経過し、治療薬も開発されてきました。治療薬の進歩のお陰で、不治の病ではなくなりました。きちんと治療を継続すれば死なない病気です。過去には大量の薬を決められた時間毎に服用することが必要でしたが、現在は1日1回1錠でHIVをコントロールできるようになりました。また、1ヶ月または2ヶ月に1回の筋肉注射でHIV感染症をコントロールできる薬剤が出てきました。今後患者の精神的負担を減らすことの出来る薬剤として期待されています。ウイルスを完全に排除することは出来ないので、継続した治療が必要であり、内服できる状況や環境を調整することが必要です。内服や定期受診を忘れないようにしましょう。何よりも感染しないようにすることが重要です。
新型コロナウイルス感染症の京都府内での発生状況については こちらをご覧ください。
京都府感染症情報センターホームページのアドレス
http://www.pref.kyoto.jp/idsc/