京都府感染症情報センターからの最新情報

京都府感染症情報センターからの最新情報

(2024年第26週:令和6年6月24日~令和6年6月30日)No.626

京都小児重症患者診療情報システム管理部 長村敏生

 

今週のコメント:2024年第26週の報告です。

今週も手足口病の全国・京都府の警報レベルが続いています。府内では前週の警報レベルの保健所はそのままに、さらに京都市上京区でも警報レベルになりました。その他疾患では、乙訓と山城南の咽頭結膜熱が、京都市右京区のA群溶血性レンサ球菌咽頭炎が今週も警報レベルです。また、COVID-19も今冬の第10波以来、全国的に増加傾向にあります(特に沖縄・九州では増加)。

全数報告対象の感染症は、結核が7件、腸管出血性大腸菌感染症が1件、マラリアが1件報告されました。ウイルス性肝炎・カルバペネム耐性腸内細菌目細菌感染症・劇症型溶血性レンサ球菌感染症・侵襲性インフルエンザ菌感染症播種性クリプトコックス症が各1件、梅毒が2件報告されました。また、基幹定点から細菌性髄膜炎無菌性髄膜炎が各1件、マイコプラズマ肺炎が2件報告されました。眼科定点から流行性角結膜炎が6件報告されました。

マラリアの報告(府内で1例)がありました。マラリアは蚊媒介感染症の一つで、世界で年間2億人が罹患しています。熱帯熱、三日熱、卵形、四日熱の4種に分類され、熱帯熱マラリアは早期に対応をしないと、短期間で重症化し死に至ることがあります。治療は抗マラリア薬が用いられますが、現在耐性化が問題になっています。ワクチンは2021年から順にWHOが承認していますが、日本では未承認です。また渡航外来では予防薬の処方を行っていますが、発症を100%予防することはできません。そのため流行地で蚊に刺されない対策が重要です。夏季休暇の時期ですが、熱帯地域への渡航を予定されている方は肌の露出を避け、防虫剤を使用し、設備の整った宿泊施設を利用する、など対策を十分行ってください。流行地での滞在後7日目以降に発熱等マラリアを疑う症状が出た場合は、速やかに医療機関を受診してください。

 

 

京都府感染症情報センターホームページのアドレス:http://www.pref.kyoto.jp/idsc/