京都府感染症情報センターからの最新情報
(2024年第39週:令和6年9月23日~令和6年9月29日)No.639
京都小児重症患者診療情報システム管理部 長村敏生 今週のコメント:2024年第39週の報告です。
今週も手足口病の報告数は微減しました。しかし、全国・京都府、京都府下地域別でも前週の警報レベルの地域のすべてで継続しています。中丹西の定点当り報告数も6.00になり、新たに警報レベルになりました。
全数報告対象の感染症は、結核が3件、腸管出血性大腸菌感染症が1件、カルバペネム耐性腸内細菌目細菌感染症と侵襲性肺炎球菌感染症が各1件、梅毒が5件報告されました。基幹定点はマイコプラズマ肺炎の報告が19件と今週も高い値です。眼科定点では流行性角結膜炎が4件報告されています。
第25週(6月17日~)以降、第36週を除き毎週1例以上の腸管出血性大腸菌感染症が報告されています。今年は府内でこれまでに32名が罹患し、うち6名が5歳以下の未就学児です。O157などの腸管出血性大腸菌は動物の腸管に棲んでいますが、動物は下痢を発症しないことが多く、外から見て本菌を保有するか判断することは困難です。食肉だけでなく野菜や飲料水などの中でも増殖が可能で、国内では井戸水やサラダ、メロンなどからも菌が検出されています。
また、動物との接触で感染した事例も報告されています。本菌はベロ毒素と呼ばれる毒素を産生し、それによって腸炎や、腸管からの出血を生じます。腸管出血性大腸菌感染後に溶血性尿毒症症候群(HUS)などを発症すると、貧血や腎機能障害を来し、時に中枢神経にも障害が生じて、命にかかわります。潜伏期間は3-5日程度で、治療は対症療法が中心ですが、HUS発症時には腎代替療法が必要になる場合もあります。菌は加熱や消毒薬により死滅しますので、食品の洗浄や加熱等衛生的な取扱いや、動物と接触した後の手洗い・手指消毒などが大切です。生肉を切ったまな板や包丁をそのまま別の食材(特に生食用の野菜・果物)に使わないようにしましょう。
より詳しい情報はこちらをご参照ください。
▶腸管出血性大腸菌O157等による食中毒|厚生労働省
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/shokuhin/syokuchu/daichoukin.html
京都府感染症情報センターホームページのアドレス:http://www.pref.kyoto.jp/idsc/