京都府感染症情報センターからの最新情報
(2024年第42週:令和6年10月14日~令和6年10月20日)No.642
京都小児重症患者診療情報システム管理部 長村敏生 今週のコメント:2024年第42週の報告です。
41週に一度増加した手足口病ですが、今週また減少に転じましたが、全国・京都府の警報レベルはどちらも継続しています。保健所別では、先週の警報レベルの地域でそのまま警報レベルが続いています。山城北の咽頭結膜熱は定点当り3.20件から1.89件まで減少、しかし警報レベルは今週も継続しています。眼科定点は流行性角結膜炎が4件、基幹定点はマイコプラズマ肺炎が今週も28件と高い数値の報告がありました。
全数報告対象の感染症は、結核が6件、腸管出血性大腸菌感染症が5件、レジオネラ症が2件報告されました。カルバペネム耐性腸内細菌目細菌感染症と百日咳が各2件、梅毒が1件報告されました。
百日咳の報告が続いています。府内の年間報告数は現時点で34例であり、年間報告数が1桁台前半であった2021年から2023年に比して増加しています。同様の傾向は全国的にみられ、米国でも本年は感染拡大がみられ、コロナ禍前の水準に戻りつつあるとアメリカ疾病予防管理センター(CDC)は警告しています。
百日咳はけいれん性の咳発作を特徴とする気道感染症であり、抗菌薬で治療しますが、1歳以下の乳児、特に生後6カ月以下では死に至る危険性も高い病気です。ワクチン接種によって発生数は激減していますが、ワクチンの効果は経年的に低下し、病原菌への再暴露(ブースター効果)が無ければ免疫が減衰し、既接種者でも感染することがあります。ワクチン既接種者が発症した場合、典型的な症状を呈さず、持続する咳のみのことも多く、気づかないうちに周囲に二次感染させる可能性があります。特に乳児に接する機会の多い方や出産予定の方は、咳が続く際は早めの医療機関の受診をお願いします。
京都府感染症情報センターホームページのアドレス:http://www.pref.kyoto.jp/idsc/