京都府感染症情報センターからの最新情報

京都府感染症情報センターからの最新情報

(2025年第4週:令和7年1月20日~令和7年1月26日)No.656

京都小児重症患者診療情報システム管理部 長村敏生

今週のコメント:2025年第4週の報告です。

インフルエンザ報告数は減少傾向ですが、全国・京都府の流行発生警報は今週も続いています。その他の定点報告対象疾患は京都市右京区でA群溶血性レンサ球菌咽頭炎が、京都市南区・右京区・西京区・乙訓で伝染性紅斑の警報レベルが継続しています。山城北で咽頭結膜熱、京都市左京区で水痘、中丹西では急性出血性結膜炎が新たに警報レベルになりました。眼科定点は急性出血性結膜炎が1件・流行性角結膜炎が6件、基幹定点はマイコプラズマ肺炎が2件報告されました。

全数報告対象の疾患は、2類の結核が4件、4類のレジオネラ症が2件、5類のクロイツフェルト・ヤコブ病劇症型溶血性レンサ球菌感染症がそれぞれ1件、侵襲性肺炎球菌感染症が2件、梅毒が5件百日咳が3件報告されました。

急性出血性結膜炎は突然の強い目の痛み、異物感などで始まり、結膜の充血、特に結膜下出血を伴うことが多い急性結膜炎です。主としてエンテロウイルス70 (EV70)とコクサッキーウイルスA24変異株(CA24v)の二つのウイルスによってひきおこされ、接触感染により伝播します。潜伏期間はEV70が平均24 時間であるのに対し、CA24vでは2〜3日とやや長い傾向にあります。発症年齢は小児から成人まで広範囲にわたります。これらのウイルスに対する特別な治療法はなく、症状に応じて対症療法がおこなわれますが、細菌の二次感染を防ぐ目的で、抗菌薬などの点眼が用いられることがあります。通常、約1週間で治癒しますが、EV70 では稀に発症から6〜12カ月後に四肢に運動麻痺を来すことがあるので、注意が必要です。とても感染力が強いウイルスなので、眼を触らないようにし、手洗いを十分に行い、タオルなどの共有は避けましょう。

京都府感染症情報センターホームページのアドレス:http://www.pref.kyoto.jp/idsc/