京都府感染症情報センターからの最新情報

京都府感染症情報センターからの最新情報
(2025年第5週:令和7年1月27日~令和7年2月2日)No.657
京都小児重症患者診療情報システム管理部 長村敏生 今週のコメント:2025年第5週の報告です。
インフルエンザの報告数が減少しました。全国、京都府全体・保健所別のいずれも流行発生警報の継続基準値を下回りました。その他、山城北の咽頭結膜熱、京都市右京区のA群溶血性レンサ球菌咽頭炎、京都市南区・右京区・西京区・乙訓の伝染性紅斑は警報レベルが継続しています。眼科定点は流行性角結膜炎が6件、基幹定点はマイコプラズマ肺炎が9件の報告がありました。
全数報告対象の疾患は、2類は結核が7件、5類は後天性免疫不全症候群(HIV感染症を含む)と水痘(入院例)がそれぞれ1件、百日咳が8件の報告がありました。
伝染性紅斑はヒトパルボウイルスB19の感染による流行性の発疹性疾患です。「リンゴ(ほっぺ)病」とも呼ばれます。京都府および全国的に昨年11月以降、感染者が増加しています。府内では特に未就学児を中心に感染が多くみられています。感染経路は通常は飛沫感染もしくは接触感染です。感染後10〜20日の潜伏期間を経て両頬に境界鮮明な紅斑が出現し、続いて腕、脚部にも網目状・レース様の発疹がみられます。パルボウイルスB19は赤血球系細胞に感染するため、もともと遺伝性球状赤血球症などの溶血性疾患を持つ人では重症の貧血発作になることがあります。感染後1週間前後(発疹出現の7〜10日前)にウイルス血症によって微熱や感冒様症状が出現することがあり、この時期ウイルス排出量は最も多くなります。現時点で特異的な治療法はありませんが、ほとんどが自然軽快します。ワクチンはありません。妊娠している方が感染すると、胎児水腫や流産を起こす場合があります。成人では頬の紅斑などの特徴的な症状は少なく、周囲の人間が知らないうちに感染していることもあります。普段から手洗いや飛沫感染対策を心がけ、食器やタオルの共有をしないなど注意をしてください。
伝染性紅斑と妊婦に関する追加の情報が必要な場合はこちらもご参照ください
▶日本産婦人科感染症学会 / 伝染性紅斑(リンゴ病)の流行について
京都府感染症情報センターホームページのアドレス:http://www.pref.kyoto.jp/idsc/

→下記ファイルもご覧ください。
2025年第5週:令和7年1月27日~令和7年2月2日、京都府感染症情報センターからのコメント、No.657