京都府感染症情報センターからの最新情報

京都府感染症情報センターからの最新情報
(2025年第6週:令和7年2月3日~令和7年2月9日)No.658
京都小児重症患者診療情報システム管理部 長村敏生 今週のコメント:2025年第6週の報告です。
今週も山城北の咽頭結膜熱、京都市右京区のA群溶血性レンサ球菌咽頭炎、京都市南区・右京区・乙訓の伝染性紅斑が警報レベルです。
眼科定点は流行性角結膜炎が5件、基幹定点はマイコプラズマ肺炎が2件報告されました。
全数報告対象疾患は、2類の結核が6件報告されました。5類はアメーバ赤痢と侵襲性インフルエンザ菌感染症と侵襲性肺炎球菌感染症がそれぞれ1件、カルバペネム耐性腸内細菌目細菌感染症と梅毒がそれぞれ2件、百日咳が8件の報告がありました。
カルバペネム耐性腸内細菌目細菌(CRE)感染症は、薬剤耐性菌による感染症です。薬剤耐性とは、病原体が抗菌薬に対して抵抗力を持ち、治療が困難になる現象であり、抗菌薬の不適切な使用などがその原因となります。特にCREは、カルバペネムという最も強力な抗菌薬のひとつに対しても抵抗性を示すため、治療が難しくなります。
薬剤耐性菌の増加は現在世界的に問題視されています。ある試算によると、このまま何も対策がとられないと、2050年には全世界で薬剤耐性関連の死亡者数は毎年1000万人に上り、がんによる死亡者数を上回ると言われています1)。世界保健総会は、2015年薬剤耐性に対するグローバル・アクション・プランを採択し、厚生労働省も2016年4月から「薬剤耐性(AMR)対策アクションプラン」を推進しています2)。
薬剤耐性を増やさないためには、医師の指示に従って抗菌薬を正しく使用しましょう。風邪のウイルスには抗菌薬は効きません。自己判断で自宅に余っている薬を服用したり、処方された服用を中止したりしないようにしましょう。不適切な使用は副作用のリスクも高めます。また、日常的な手洗いや適切なワクチン接種など、感染予防の基本を徹底することも大切です。
1.
厚生労働省:薬剤耐性(AMR)に起因する死亡者数の推定(オニールレポート)(スライド1)
2.
かしこく治して、明日につなぐ~抗菌薬を上手に使って薬剤耐性(AMR)対策~
京都府感染症情報センターホームページのアドレス:http://www.pref.kyoto.jp/idsc/