京都府感染症情報センターからの最新情報

京都府感染症情報センターからの最新情報
(2025年第10週:令和7年3月3日~令和7年3月9日)No.662
京都小児重症患者診療情報システム管理部 長村敏生 今週のコメント:2025年第10週の報告です。
京都府の感染性胃腸炎の定点当り報告数は先週から約2.5増加し9.34になりました。引き続き京都市南区では警報レベル、新たに伏見区でも警報レベルになりました。京都市南区では伝染性紅斑の警報レベルも継続しており、乙訓と南丹でも新たに警報レベルとなりました。山城北の咽頭結膜熱、京都市右京区のA群溶血性レンサ球菌咽頭炎の警報レベルは今週も継続しています。そのほか、乙訓で水痘が注意報レベルになりました。眼科定点は流行性角結膜炎が2件、基幹定点はマイコプラズマ肺炎が4件報告されました。
全数報告対象疾患は、結核が6件、カルバペネム耐性腸内細菌目細菌感染症・急性弛緩性麻痺・劇症型溶血性レンサ球菌感染症・侵襲性肺炎球菌感染症と水痘(入院例)がそれぞれ1件、梅毒が2件、百日咳が10件報告されました。 感染性胃腸炎の患者数が過去10年で最多レベルに達しています(最多は2021年第51週の9.72)。暖かくなり屋外での飲食の機会が増える時期ですが、調理時や食事前の手指衛生を徹底し、食品の十分な加熱や適切な温度管理を心がけましょう。また体調不良時や周囲に体調不良者がいる場合もこまめな手洗いを意識し、食品の取り扱いには十分注意して下さい。
また、この週には急性弛緩性麻痺の報告もありました。府内では過去5年で3例目です。この疾患は、急性に四肢に弛緩性運動麻痺を引き起こす疾患の総称で、エンテロウイルスなどが原因で発症する急性弛緩性脊髄炎などが含まれます。脊髄炎の多くは発熱や呼吸器症状、消化器症状などの先行症状を伴います。発症者の大半は幼児から学童ですが、成人が発症することもあります。特異的な治療法は確立されておらず、支持療法・対症療法を中心に行います。長期的な後遺症への対応として、早期からリハビリテーションを開始・継続することが重要です。麻痺が残っても、時間の経過とともに改善がみられることが報告されています。
京都府感染症情報センターホームページのアドレス:http://www.pref.kyoto.jp/idsc/