京都府感染症情報センターからの最新情報
(2024年第48週:令和6年11月25日~令和6年12月1日)No.648
京都小児重症患者診療情報システム管理部 長村敏生 今週のコメント:2024年第48週の報告です。
インフルエンザの定点当りの報告数が急増し、前週の1.99から3.99になりました。手足口病の京都府の報告数は1.39に減少し、警報継続基準値の2.00より下回りました。山城北では咽頭結膜熱の警報レベルが継続中、京都市右京区ではA群溶血性レンサ球菌咽頭炎が定点当りの報告数が9.60に増え、今週新たな警報レベルとなりました。そのほか、眼科定点は流行性角結膜炎が6件、基幹定点はマイコプラズマ肺炎が16件と感染性胃腸炎(ロタウイルス)が1件の報告がありました。
全数報告対象の感染症は、2類の結核が7件、3類の腸管出血性大腸菌感染症が1件、4類のレジオネラ症が2件、5類のアメーバ赤痢・カルバペネム耐性腸内細菌目細菌感染症・侵襲性インフルエンザ菌感染症と侵襲性肺炎球菌感染症・百日咳がそれぞれ1件、梅毒4件の報告がありました。 結核については毎週新たな感染者の報告がなされています。日本は、長年、結核の中蔓延国1)とされてきましたが2021年に初めて低蔓延国と位置付けられ、その後の2022年と2023年は、その罹患率はさらに低下傾向です。一方、京都府に目を向けると、その結核罹患率(人口10万人対)はわが国でも高水準であり、2023年は過去最低だった2022年の9.4人から少し増え、全国でもワースト5位の9.9人なっています2)。今年もこれまでの週当たりの平均報告数は7.6人であり、昨年の7.2人を上回るペースで報告が続いています。
結核は教科書的には抗結核薬で適切に治療をすれば治癒する疾患とされていますが、実際は、世界的に多くの罹患者がまだまだ存在し、くわえて多剤耐性結核菌の存在が公衆衛生上の大きなリスクとなっているのが現実です。WHO(世界保健機関)は2024年10月29日に「結核が感染症による死因のトップに再浮上した」と公表し、警鐘を鳴らしているところです3)。
結核は潜伏期間が長く、感染後数十年経過したのちに初めて発症する場合もあります。そして加齢や疲労、病気等で免疫力が低下すると発症するリスクが高くなります。65歳以上の方や持病のある方は早期発見のため、年に1回定期健診(胸部エックス線検査)を受けま
しょう。結核の病態・検診・公費補助等の詳細についてはこちらをご覧ください。https://www.pref.kyoto.jp/kentai/kekkaku.html
その他:
1. WHOは、結核罹患率が人ロ10万人当たり10未満の国を低まん延国、10以上100未満の国を中まん延国、そして100以上の国を高まん延国と定義しています。
2. 厚生労働省 2023年 結核登録者情報調査年報集計結果について
https://www.mhlw.go.jp/content/10900000/001295037.pdf
3. 日本WHO協会:https://japan-who.or.jp/factsheets/factsheets_type/tuberculosis/
京都府感染症情報センターホームページのアドレス:http://www.pref.kyoto.jp/idsc/
→詳細はこちらを確認ください。2024年第48週:令和6年11月25日~令和6年12月1日、京都府感染症情報センターからのコメント、No.648