京都府感染症情報センターからの最新情報

京都府感染症情報センターからの最新情報
(2025年第13週:令和7年3月24日~令和7年3月30日)No.665
京都小児重症患者診療情報システム管理部 長村敏生 今週のコメント:2025年第13週の報告です。
今週、定点報告感染症の報告数は全体的に減少しました(学校が春休みに入ったせいもあるかもしれません)。一部地域で警報レベルが続いている4疾患―咽頭結膜熱・A群溶血性レンサ球菌咽頭炎・水痘・伝染性紅斑ーは、今週も継続して警報レベルですが、感染性胃腸炎はすべての地域で警報レベルを下回りました。眼科定点は流行性角結膜炎が3件報告されました。基幹定点の報告はありません。
全数報告は、結核が5件、レジオネラ症と侵襲性インフルエンザ菌感染症がそれぞれ1件、後天性免疫不全症候群(HIV感染症を含む)が2件、侵襲性肺炎球菌感染症が4件、梅毒が3件、百日咳が15件報告されました。
侵襲性肺炎球菌感染症(IPD)は、肺炎球菌が血液・髄液などの無菌部位に侵入して菌血症や髄膜炎などを引き起こす疾患です。新型コロナウイルス感染症の流行が本格化した2020年以降、年間100件程度あった府内発生数は激減し、2021年には約4分の1の24件まで減少しました。しかし、その後、2022年42件、2023年53件、2024年67件と年々増加しており、2025年は3月末時点ですでに36件に上っています。IPDの発症は肺炎球菌ワクチンの接種により4割程度予防することができます。ワクチンは主に65歳の方への定期接種(公費負担あり)で用いられる23 価ワクチンと主に小児の定期接種で用いられる20価/15価ワクチンがあります。20価/15価ワクチンは標準的には生後2か月から計4回接種することで、終生免疫が獲得できるとされています。 65歳以上の方も20価/15価ワクチンを接種できますが、現時点では全額自己負担です。23 価ワクチンはリスクの高い方は5年ごとの追加接種を行う場合もあります(2回目以降は全額自己負担)。詳細についてはかかりつけ医にご相談下さい。
京都府感染症情報センターホームページのアドレス:http://www.pref.kyoto.jp/idsc/