京都府感染症情報センターからのコメント
(2019年第13週:平成31年3月25日~平成31年3月31日)No.356
京都小児重症患者診療情報システム管理部 長村敏生
感染性胃腸炎が定点あたり5.62件、ロタウイルスによる感染性胃腸炎が漸増しています。その他の感染症は大きな変化はありません。乙訓と京都市右京区での伝染性紅斑は、今週も引き続き警報レベルとなっています。また、水痘は乙訓で定点あたり1.25件と注意報レベルとなっています。全数報告対象の感染症は、結核が3件、腸管出血性大腸菌感染症が3件、A型肝炎が1件、後天性免疫不全症候群が1件、侵襲性肺炎球菌感染症が2件、梅毒が5件、百日咳が6件、風しんが2件報告されました。また、基幹定点から細菌性髄膜炎が1件、眼科定点からロタウイルスによる感染性胃腸炎が11件報告されました。
ロタウイルスによる感染性胃腸炎の報告が多く見られました。ロタウイルスは、特に乳幼児の重症急性胃腸炎の主要な原因病原体で、ロタウイルス感染症により世界の5歳未満の小児で約50万人の死亡があるとされています。その多くは発展途上国で起こっていますが、ロタウイルスは、感染力が非常に強いため衛生状態が改善されている先進国でも感染は多く見られ、生後6カ月から2歳をピークに、5歳までにほぼすべての児がロタウイルスに感染し、胃腸炎を発症するとされています。通常2日間の潜伏期間をおいて発症し、発熱と嘔吐から症状が始まり24~48時間後に頻繁な水様便を認めます。成人でも感染、発病しピークは20~30歳代と50~60歳代に認められます。
主な感染経路は糞口感染ですのでオムツの適切な処理、手洗いの徹底、汚染された衣類等の次亜塩素酸消毒などによる処置が感染拡大防止の基本となります。
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