京都府感染症情報センターからのコメント(2017年第16週:4月17~23日)、No.256
京都小児重症患者診療情報システム管理部 長村敏生
感染性胃腸炎の京都府全体での定点当たり報告数が6.30件と増加しています。
流行性耳下腺炎、A群溶血レンサ球菌咽頭炎、咽頭結膜熱(プール熱)、突発性発疹の発生数にも特に変化はありません。
インフルエンザは定点あたり2.60件と先週と変わらず、散発的な発生がみられています。流行が終わったと考えず、手洗い・うがいに留意してください。
全数報告対象の感染症は結核が13件、侵襲性肺炎球菌感染症が1件報告されました。 また、基幹定点の報告として無菌性髄膜炎が1件、ロタウイルスによる感染性胃腸炎が3件、眼科では流行性角結膜炎が7件報告されています。
先週、京都市内において海外渡航者が帰国後腸チフスを発症した旨の届出がありました。腸チフス・パラチフスは現在でも日本を除く東アジア、東南アジア、インド亜大陸、中東、東欧、中南米、アフリカなどにまん延し、流行を繰り返しています。衛生状態の改善により、日本で発生するほとんどの症例は海外からの輸入感染症です。
10~14 日の潜伏期の後に39~40℃の発熱で発症し、比較的徐脈、バラ疹、脾腫が3主徴とされています。原因菌はSalmonella Typhiであり、ニューキノロン系の抗生物質が第一選択となります。しかし、近年では薬剤耐性チフス菌が分離されており、対応がとられています。
チフス菌・パラチフス菌は人間にのみ感染し、病気を起こします。そのため、人の糞便で汚染された食物や水が媒介して感染します。海外渡航時には生水や生肉の飲食を避け、帰国後発熱や下痢などの体調不良があった際はすぐに医療機関を受診してください。
京都府感染症情報センターホームページのアドレスhttp://www.pref.kyoto.jp/idsc/