京都府感染症情報センターからのコメント
(2018年第10週:平成30年3月5日~3月11日)No.302
京都小児重症患者診療情報システム管理部 長村敏生
インフルエンザの報告数は今週、定点あたり10.77件まで減少しました。南丹以北ではまだ警報レベルとなっているので注意してください。
感染性胃腸炎の京都府全体での定点当たり報告数は、4.39件とよこばいです。
その他の感染症の報告も先週までと比べて著変ありません。
全数報告対象の感染症は、結核が8件、カルバベネム耐性腸内細菌感染症が2件、劇症型溶血性レンサ球菌感染症・後天性免疫不全症候群が、それぞれ1件、侵襲性肺炎球菌感染症が3件報告されました。また、基幹定点の報告として、ロタウイルスによる感染性胃腸炎が4件、細菌性髄膜炎が1件、流行性角結膜炎が7件報告されました。
A群溶血性レンサ球菌の感染により罹患する、重症で生命に関わる劇症型溶血性レンサ球菌感染症は、子供から大人まで広範囲の年齢層に発症しますが、特に30歳以上の大人に多いことが特徴です。学校やご家庭で接触感染し、突然発病する例があり、四肢の疼痛、腫脹、発熱、血圧低下などを初期症状とします。病状の進行も急激で、数十時間以内には軟部組織の壊死、急性腎不全、成人型呼吸窮迫症候群(ARDS)、播種性血管内凝固症候群(DIC)、多臓器不全(MOF)などを引き起こし、ショック状態から死に至ることも多い疾患です。咽頭培養により菌を分離同定するほか、迅速診断キットを利用して診断し、第一選択薬のペニシリン系抗生剤などの抗菌薬で加療することができますので、疑わしい症状をみた際は早めに医療機関を受診してください。
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