京都府感染症情報センターからのコメント
(2022年第30週:令和4年7月25日~令和4年7月31日)No.527
京都小児重症患者診療情報システム管理部 長村敏生
令和4年第30週の報告です。
全数報告は結核 1件、腸管出血性大腸菌感染症 2件、デング熱 1件、レジオネラ症 2件、アメーバ赤痢 1件、カルバペネム耐性腸内細菌科細菌感染症 1件、劇症型溶血性レンサ球菌感染症 1件、梅毒 2件の報告がありました。
定点報告では、RSウイルス感染症が増加を続けています。咽頭結膜熱は減少し乙訓に発令されていた警報も解除されました。その他疾患には特に大きな変動はありません。眼科定点・基幹定点はともに報告ありません。
新型コロナ感染症<ケンタウロス変異株>について
京都府も含め、全国的に7月下旬よりコロナ感染症新規陽性者数が急激な増加を示しています。その中でBA.5変異株の比率が増加しています。欧州ではすでに2ヶ月ほど前よりBA.4/BA.5への置き換わりがすすみ、現在は北欧諸国では90%が置き換わっているとECDC(欧州疾病予防管理センター)からも報告されています。
2022年6月インドでオミクロン株の変異株であるBA.2.75による初感染報告があり、その後、アメリカ、イギリス、オーストラリア、韓国など世界各国でも感染が確認されています。 7月に国内で初めて確認されましたが、その感染力は従来のオミクロン株の3倍ともいわれています。国内では7月8日に神戸市で1人、19日に大阪府で2人、21日に東京都で2人感染が確認されました。
インドでは、今年の5月の時点では感染者数や死亡者数が低い水準でしたが、その後、増加傾向となり「BA.2.75」の拡大の可能性も否定できません。インド以外の多くの地域や日本では、BA.5が主流です。
ECDCはBA.2.75を注目すべき変異株(VOI)としていますが、7月15日の報告では、感染力や免疫への影響、重症度はまだ不明としています。BA2.75は、感染力も強く、ワクチン効果も低いとの報告もあります。現在、主流のBA.5が、減少傾向となっても、BA.2.75に置き換わって、感染者数が再び増加する可能性もあります。従来の感染予対策の継続と症状出現時に感染を確認することが肝要です。
注)従来の感染予防策:①手洗い・手指消毒、②マスク(戸外では不要)、③物理的距離、④三密回避、⑤体調不良時の自宅待機、⑥換気
新型コロナウイルス感染症の京都府内での発生状況については こちらをご覧ください。
京都府感染症情報センターホームページのアドレス
http://www.pref.kyoto.jp/idsc/