京都府感染症情報センターからの情報

京都府感染症情報センターからのコメント

(2019年第34週:令和元年8月19日~令和元年8月25日)No.376

 

京都小児重症患者診療情報システム管理部 長村敏生

 

感染性胃腸炎は、定点あたり2.23件報告されています。伝染性紅斑は、乙訓、山城北、京都市左京区、南区で警報レベルとなっています。全数報告対象の感染症は、結核が8件、腸管出血性大腸菌感染症が2件、デング熱、アメーバ赤痢、ウイルス性肝炎、カルバベネム耐性腸内細菌感染症、急性脳炎、後天性免疫不全症候群及び侵襲性インフルエンザ菌感染症がそれぞれ1件、百日咳が3件報告されました。また、基幹定点から無菌性髄膜炎が1件、眼科定点から流行性角結膜炎が6件報告されました。

先週に引き続き、腸管出血性大腸菌感染症、デング熱の報告がありました。腸管出血性大腸菌感染症は、例年5月頃から10月頃までが流行期とされています。腸管出血性大腸菌は、汚染された水や食品(生肉、野菜など)などを介して経口感染し、またわずか50個ほどの菌で感染しうるため、患者や保菌者の便からの二次感染にも注意が必要です。感染者のうち6-7%で溶血性尿毒症症候群(HUS)や脳症を発症し、致死率は1-5%に至ります。予防対策として、食肉の十分な加熱処理が最も重要ですが、調理器具の十分な消毒や洗浄、調理や食事前の手洗いの励行も大切です。

デング熱は、蚊が媒介するウイルス感染症で、3~7日の潜伏期間の後に突然の発熱で発症し、筋肉痛、関節痛、眼の奥の痛みを伴います。体幹から拡がる発疹を伴い、7日間ほどの経過で改善することが多いです。症例の多くは、熱帯・亜熱帯地域(特に東南アジア、南アジア、中南米、カリブ海諸国)への海外渡航時に感染したものですが、国内にもデングウイルスを媒介する蚊がいますので、注意が必要です。デングウイルスに対する抗ウイルス薬は無く、症状に応じて鎮痛剤の投与や輸液が行われます。またワクチンもないため、蚊に刺されないように予防対策をすることが重要となります。

 

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京都府感染症情報センターからのコメント

(2019年第33週:令和元年8月12日~令和元年8月18日)No.375

 

京都小児重症患者診療情報システム管理部 長村敏生

 

感染性胃腸炎は、定点あたり1.61件報告されています。手足口病は、乙訓と京都市伏見区のみ引き続き警報レベルとなっています。全数報告対象の感染症は、結核が6件、腸管出血性大腸菌感染症が1件、デング熱が1件、レジオネラ症が2件、侵襲性インフルエンザ菌感染症が1件、百日咳が2件報告されました。また、基幹定点から無菌性髄膜炎が1件、眼科定点から流行性角結膜炎が3件報告されました。

侵襲性インフルエンザ菌感染症の報告がありました。侵襲性インフルエンザ菌感染症は、グラム陰性短桿菌であるインフルエンザ菌が血液や髄液から検出されるものです。インフルエンザ菌は、幼児と高齢者に多くみられ、小児では保菌率が高く髄膜炎、敗血症、中耳炎、副鼻腔炎等の原因となることが知られています。我が国では、2008年12月にHibワクチンの任意接種がはじまり、2013年4月の予防接種法改正にともない定期接種のひとつとなっています。Hibワクチンが定期接種となってから、侵襲性インフルエンザ菌感染症(主に髄膜炎)は減少傾向にあります。小児だけでなく成人、とくに高齢者など高リスクの方はワクチン接種を行い重症肺炎の予防を行うことが必要です。

 

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京都府感染症情報センターからのコメント

(2019年第32週:令和元年8月5日~令和元年8月11日)No.374

 

京都小児重症患者診療情報システム管理部 長村敏生

 

感染性胃腸炎は、定点あたり2.72件、手足口病は、1.36件と報告されています。手足口病は、乙訓と京都市伏見区のみ引き続き警報レベルとなっています。伝染性紅斑は、乙訓、京都市左京区、南区、右京区、伏見区で警報レベルとなっています。咽頭結膜熱が、乙訓で定点あたり3.75件と警報レベルとなっています。全数報告対象の感染症は、結核が11件、カルバペネム耐性腸内細菌科腸内細菌感染症・劇症型溶血性レンサ球菌感染症・侵襲性肺炎球菌感染症・播種性クリプトコックス症と風しんがそれぞれ1件、百日咳が4件報告されました。また、眼科定点の報告として、流行性角結膜炎が4件報告されました。

百日咳は、けいれん性の咳発作を特徴とする5類感染症であり、主に小児期にみられます。しかし、ワクチン接種をしていない方や、接種後免疫の低下した成人でも発症がみられるため注意が必要です。近年の特徴として、小学校高学年以上の患者が増加しており、2019年30週の全国の報告でも10代が105例と最も多くなっています。

2017年12月31日までは、指定届出機関である全国約3,000カ所の小児科定点医療機関が週毎に保健所に届け出なければならないとされていましたが、2018年1月1日から、適切な検査診断で百日咳と診断された症例は年齢を問わず全数把握疾患として報告するようにと改正されました。診断した医師は、都道府県知事に対して、患者の年齢、性別等を7日以内に届け出なければならないとされていますのでご協力お願いします。また、学校保健安全法では、第2種感染症に指定されており、咳が止まるまで、もしくは5日間の適正な抗菌薬治療が終了するまでは出席停止となっています。

 

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京都府感染症情報センターからのコメント

(2019年第31週:令和元年7月29日~令和元年8月4日)No.373

 

京都小児重症患者診療情報システム管理部 長村敏生

 

手足口病は、定点あたり2.70件となりました。南丹、乙訓のほか京都市左京区、中京区、山科区、南区、右京区、伏見区、西京区で警報レベルとなっています。伝染性紅斑は、引き続き、乙訓、京都市左京区、右京区、上京区、伏見区で警報レベルとなっています。A群溶血性レンサ球菌咽頭炎が中丹西で引き続き警報レベルとなっています。全数報告対象の感染症は、結核が4件、腸管出血性大腸菌感染症が1件、A型肝炎とレジオネラ症が1件、百日咳が4件報告されました。また、基幹定点の報告として無菌性髄膜炎とロタウイルスによる感染性胃腸炎がそれぞれ1件報告されました。眼科定点の報告として、流行性角結膜炎が9件報告されました。

レジオネラ症の報告数が年々増加しています。2017年の報告数は全国で1700件を越えており、現在の調査方法となった1999年以降最多でした。ここ10年で約2.5倍に増加しています。レジオネラ菌は、水中や土の中に存在し、給湯設備や空調の冷却塔、加湿器のなかで増殖します。特に高齢者や糖尿病などに罹患した患者など抵抗力の少ない人で感染が起こりやすく、死亡率が高くなることが知られています。水滴とともに吸入することで感染し、発熱や肺炎を発症します。レジオネラ菌は36度前後で最も繁殖しますが、高温や塩素消毒で死滅します。予防として、感染源となる給湯系、冷却塔、浴場、加湿器などの、水環境に対する衛生管理が重要です。治療には、ニューキノロンやマクロライド系の抗菌薬が著効します。

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京都府感染症情報センターからのコメント

(2019年第30週:令和元年7月22日~令和元年7月28日)No.372

 

京都小児重症患者診療情報システム管理部 長村敏生

 

手足口病は、先週よりさらに減少し、定点あたり4.53件と報告されましたが、府全体としては、依然警報レベルにあります。地域ごとに見ると、山城南、中丹西、中丹東、丹後、京都市北区、東山区、下京区以外の地域で警報レベルとなっています。伝染性紅斑は、引き続き、乙訓、京都市左京区、上京区、南区、伏見区で警報レベルとなっています。A群溶血性レンサ球菌咽頭炎が中丹西で、引き続き警報レベルとなっています。全数報告対象の感染症は、結核が5件、腸管出血性大腸菌感染症が1件、デング熱とレジオネラ症が1件、百日咳が4件報告されました。また、基幹定点から無菌性髄膜炎が1件、眼科定点から流行性角結膜炎が8件報告されました。

デング熱の報告がありました。デング熱は、主に海外でみられる、蚊により媒介される疾患で、決して死亡率は高くありませんが、まれにデング出血熱など重症化して死に至ることがあります。海外に行かれる際は、特に、デング熱、ジカウイルス感染症、マラリア、チクングニア熱など、蚊媒介感染症への対策に御留意ください。具体的には、野外活動では長袖・長ズボンを着用し、素足でのサンダル履きは避け、虫除け剤を使用して蚊に刺されないような対応が必要です。

また先週に引き続き、京都府全地域において食中毒注意報が発令されています。高温多湿の気候が続いており、食中毒が発生しやすい環境となっています。食中毒の原因となる菌を増加させないよう、手洗い、低温管理、消毒、加熱調理を心がけてください。特に報告が続いている腸管出血性大腸菌は、少量の菌で食中毒の原因となり、重症化する危険もありますので十分注意してください。

 

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京都府感染症情報センターからのコメント

(2019年第29週:令和元年7月15日~令和元年7月21日)No.371

 

京都小児重症患者診療情報システム管理部 長村敏生

 

手足口病は、先週よりさらに減少し定点あたり6.66件と報告されましたが、府全体としては依然、警報レベルにあります。地域ごとに見ると、丹後、京都市北区、下京区以外のすべての地域で警報レベルとなっています。伝染性紅斑は、引き続き乙訓、京都市左京区、上京区、南区、伏見区で警報レベルとなっています。A群溶血性レンサ球菌咽頭炎が、中丹西で引き続き警報レベルとなっています。京都市右京区では、水痘が警報レベルとなっています。全数報告対象の感染症は、結核が7件、腸管出血性大腸菌感染症が6件、E型肝炎が1件、カルバペネム耐性腸内細菌感染症・劇症型溶血性レンサ球菌感染症とバンコマイシン耐性腸球菌感染症がそれぞれ1件、百日咳が2件報告されました。また、基幹定点から無菌性髄膜炎が4件、マイコプラズマ肺炎が1件、眼科定点から流行性角結膜炎が1件報告されました。

7月23日京都府全地域において食中毒注意報が発令されました。高温多湿の気候が続いており食中毒が発生しやすい環境となっています。食中毒の原因となる菌を増加させないよう、手洗い、低温管理、消毒、加熱調理を心がけてください。特に大腸菌は少量の菌で食中毒の原因となりますので十分注意してください。

 

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京都府感染症情報センターからのコメント

(2019年第28週:令和元年7月8日~令和元年7月14日)No.370

 

京都小児重症患者診療情報システム管理部 長村敏生

 

手足口病は、先週よりやや減少し定点あたり10.31件と報告されました。依然、丹後以外のすべての地域で警報レベルとなっています。伝染性紅斑は、引き続き乙訓、京都市左京区、右京区、上京区、南区、伏見区で警報レベルとなっています。咽頭結膜熱、水痘が乙訓で、A群溶血性レンサ球菌咽頭炎が中丹西で引き続き警報レベルとなっています。京都市中京区では、ヘルパンギーナが警報レベルとなっています。全数報告対象の感染症は、結核が5件、腸管出血性大腸菌感染症が4件、レジオネラ症が2件、急性脳炎・クロイツフェルト・ヤコブ病・後天性免疫不全症候群・侵襲性肺炎球菌感染症と百日咳がそれぞれ1件報告されました。また、基幹定点の報告として、無菌性髄膜炎が4件、ロタウイルスによる感染性胃腸炎が1件報告されました。眼科定点の報告として、流行性角結膜炎が8件報告されました。

クロイツフェルト・ヤコブ病の報告が1件ありました。クロイツフェルト・ヤコブ病は、正常プリオン蛋白が何らかの理由で伝播性を有する異常プリオン蛋白に変化し、主に中枢神経内に蓄積することにより、急速に神経細胞変性をおこす稀な致死性疾患であるプリオン病の一種です。病因により、特発性(孤発性)、プリオン蛋白遺伝子変異による遺伝性、他のプリオン病からの感染による獲得性(医原性、変異型)の3種類に分類されています。2003年より五類感染症に分類されており、診断後7日以内に保健所へ報告することが義務づけられています。本疾患の有病率は100万人に1人前後で、男女差はなく、発病は50~70歳代に多く、わが国のサーベイランス調査によると、孤発性が76.5%、遺伝性が19.0%、獲得性が3.9%となっています。治療は確立されておらず、孤発性症例では、進行が速く1~2年で死亡の転帰をとりますが、遺伝性や一部の孤発性症例は進行が遅く数年に及ぶものもあります。

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京都府感染症情報センターからのコメント

(2019年第27週:令和元年7月1日~令和元年7月7日)No.369

 

京都小児重症患者診療情報システム管理部 長村敏生

 

手足口病が先週よりさらに増加し、定点あたり11.21件と報告されました。丹後と京都市北区、下京区以外のすべての地域で警報レベルとなっています。伝染性紅斑は、引き続き乙訓、京都市左京区、右京区、上京区、伏見区で警報レベルとなっています。咽頭結膜熱が乙訓で警報レベルとなっています。また中丹西では、A群溶血性レンサ球菌咽頭炎が定点あたり4.33件と引き続き警報レベルとなっています。京都市中京区では、ヘルパンギーナが警報レベルとなっています。全数報告対象の感染症は、結核が9件、腸管出血性大腸菌感染症が5件、レジオネラ症が1件、侵襲性インフルエンザ菌感染症が1件、百日咳が6件報告されました。また、基幹定点の報告として細菌性髄膜炎が1件、無菌性髄膜炎が3件、マイコプラズマ肺炎が4件報告されました。眼科定点の報告として、流行性角結膜炎が7件報告されました。

関東地方でヘルパンギーナの流行の兆しがみられています。東京都や埼玉県の一部の地域では警報レベルを超えておりさらなる感染拡大が危惧されます。

ヘルパンギーナ、手足口病及び咽頭結膜炎の3つの病気は、夏かぜとして知られており、いずれも感染力の強い疾患です。ヘルパンギーナは、38度を超える発熱と咽頭の水泡が特徴で、発熱は1-2日で低下しますが、水泡が破れると疼痛を伴いますので、食事や水分摂取が低下しがちとなり、脱水に注意が必要です。手足口病は、手足や口に水泡ができ、爪がむけるなどの症状がでることもあります。プール熱ともいわれる咽頭結膜炎では、かぜの症状に加えて充血や眼脂があらわれます。

いずれの疾患も対症療法で改善しますが、髄膜炎や脳炎、心筋炎などを合併することがあるので注意してください。また発熱や水分摂取不良により脱水が進行することがありますので口当たりのよいものなどで水分をしっかりとれるようにしてあげてください。

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京都府感染症情報センターからのコメント

(2019年第26週:令和元年6月24日~令和元年6月30日)No.368

 

京都小児重症患者診療情報システム管理部 長村敏生

 

手足口病が先週よりさらに増加し定点あたり10.60件と報告されました。南丹15.00件、中丹東10.80件、丹後と京都市北区、下京区、東山区以外のすべての地域で警報レベルとなっています。

伝染性紅斑は、引き続き乙訓、京都市左京区、右京区、上京区、中京区、伏見区、南区で警報レベルとなっています。咽頭結膜熱が乙訓で警報レベルとなっています。また中丹西ではA群溶血性レンサ球菌咽頭炎が定点あたり6.67件と警報レベルとなっています。

全数報告対象の感染症は、結核が12件、腸管出血性大腸菌感染症が5件、腸チフスが1件、レジオネラ症が2件、劇症型溶血性レンサ球菌感染症・後天性免疫不全症候群・侵襲性インフルエンザ菌感染症と侵襲性肺炎球菌感染症がそれぞれ1件、百日咳が4件報告されました。

また、基幹定点から無菌性髄膜炎と感染性胃腸炎(ロタウイルス)がそれぞれ2件、マイコプラズマ肺炎が1件、眼科定点から流行性角結膜炎が2件報告されました。

手足口病の報告はさらに増加しており家庭内でも感染予防に留意してください。

サルモネラ菌の一種である腸チフス・パラチフスは、現在でも、日本を除く東アジア、東南アジア、インド亜大陸、中東、東欧、中南米、アフリカなどに蔓延し、流行を繰り返しています。衛生状態の改善により日本で発生するほとんどの症例は海外からの輸入感染症です。

10~14 日の潜伏期の後に39~40℃の発熱で発症し、比較的徐脈、バラ疹、脾腫が3 主徴とされています。原因菌はSalmonella enterica serover Typhiでありニューキノロン系の抗生物質が第一選択となります。しかし近年では薬剤耐性チフス菌が分離されており対応がとられています。チフス菌・パラチフス菌は人間にのみ感染し病気を起こします。

原因菌で汚染された食物や水が原因となるので、海外渡航時は生水や生肉の飲食を避け、帰国後発熱や下痢などの体調不良があった際はすぐに医療機関を受診してください。

 

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(2019年第25週:令和元年6月17日~令和元年6月23日)No.367

 

京都小児重症患者診療情報システム管理部 長村敏生

 

手足口病が先週よりさらに増加し定点あたり9.66件と報告されました。南丹15.00件、中丹東10.80件、中丹西10.33件、乙訓9.50件と報告されており京都市でも10.65件となっています。伝染性紅斑は、引き続き、乙訓、京都市左京区、右京区、伏見区、南区で警報レベルとなっています。咽頭結膜熱が、乙訓で警報レベルとなっています。また中丹西では、A群溶血性レンサ球菌咽頭炎が定点あたり5.67件と警報レベルとなっています。全数報告対象の感染症は、結核が10件、腸管出血性大腸菌感染症が1件、レジオネラ症が4件、カルバペネム耐性腸内細菌感染症が1件、百日咳が5件報告されました。

また、基幹定点の報告として、無菌性髄膜炎とマイコプラズマ肺炎がそれぞれ2件、感染性胃腸炎(ロタウイルス)が1件報告されました。眼科定点の報告として、流行性角結膜炎が10件報告されました。手足口病は、報告数がさらに増加し感染が拡大しています。また伝染性紅斑も一部の地域で流行が継続しています。

伝染性紅斑(erythema infectiosum)は、ヒトパルボウイルスB19(Human parvovirus B19)による感染症であり、幼児、学童の小児を中心にみられる流行性の発疹性疾患です。典型例では、両頬に蝶形紅斑が出現し、リンゴのように赤くなることから「リンゴ(ほっぺ)病」と呼ばれることもありますが、本疾患の約4分の1は不顕性感染です。感染経路は、通常は飛沫感染もしくは接触感染です。感染後10~20日の潜伏期間を経て両頬の境界鮮明な紅斑が出現し、続いて腕、脚部にも網目状・レース様の発疹がみられます。感染後1週間前後でインフルエンザ様の症状がでますが、発熱は軽度です。成人では頬の紅斑は少なく、風疹との鑑別が必要になります。

妊娠している方やその可能性のある方は、感染により胎児水腫や流産を起こす場合があります。

流行地域の家庭内で調子を崩している小児を妊婦がケアをする場合においては、手洗いの通常以上の徹底や、食器の共有をしないなど注意してください。

 

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