京都府感染症情報センターからの情報

京都府感染症情報センターからのコメント

(2019年第9週:平成31年2月25日~平成31年3月3日)No.352

 

京都小児重症患者診療情報システム管理部 長村敏生

 

感染性胃腸炎が定点あたり4.70件、インフルエンザが4.58件となっています。その他の感染症も大きな変化はありません。南丹で水痘が定点あたり2.40件と警報レベルとなっています。全数報告対象の感染症は、結核が6件、カルバペネム耐性腸内細菌感染症・急性脳炎と梅毒がそれぞれ2件、侵襲性肺炎球菌感染症と風しんが1件、百日咳が3件報告されました。また、基幹定点の報告としてマイコプラズマ肺炎が2件、ロタウイルスによる感染性胃腸炎が4件、眼科定点の報告として、流行性角結膜炎が2件報告されました。

南丹地域で水痘の報告が増加しています。水痘は例年冬から春にかけて増加する水痘帯状疱疹ウイルスというウイルスによって引き起こされる発疹性の病気です。空気感染、飛沫感染、接触感染により広がり、潜伏期間は感染から2週間程度と言われています。発疹の発現する前から発熱が認められ、典型的な症例では、発疹は紅斑から始まり、水疱、膿疱を経て痂皮化して治癒するとされています。発疹出現後、大体6日間前後は感染性があるとされます。治療は軽症例では対症療法が基本ですが、重症例や重症化のおそれのある場合、抗ウイルス薬が使用されます。9歳以下での発症が90%以上を占めると言われています。合併症としては、皮疹への細菌感染、熱性痙攣、ウイルス性肺炎、脳炎、無菌性髄膜炎などがあります。成人での水痘も稀に見られますが、成人発症の場合、水痘そのものが重症化する危険が高いと言われています。

発症予防に、水痘ワクチン接種が有効です。1回の接種により重症の水痘をほぼ100%予防でき、2回の接種により軽傷の水痘も含めてその発症を予防できると考えられています。平成26年より水痘ワクチンは定期接種となっていますので忘れずに接種しましょう。

 

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京都府感染症情報センターからのコメント

(2019年第8週:平成31年2月18日~平成31年2月24日)No.351

 

京都小児重症患者診療情報システム管理部 長村敏生

 

インフルエンザの報告数は定点あたり7.29件と減少傾向です。乙訓と京都市左京区、南区、伏見区では警報レベルとなっています。

全数報告対象の感染症は、結核が6件、アメーバ赤痢・急性弛緩性麻痺・水痘(入院例)がそれぞれ1件、カルバペネム耐性腸内細菌感染症・百日咳と風しんがそれぞれ2件、侵襲性肺炎球菌感染症が4件報告されました。

また、基幹定点の報告としてマイコプラズマ肺炎が1件、ロタウイルスによる感染性胃腸炎が2件、眼科定点の報告として、流行性角結膜炎が2件報告されました。

今年に入りアメーバ赤痢、細菌性赤痢が散見されます。「赤痢」と呼ばれる病気には、細菌性赤痢とアメーバ赤痢があります。今週定点報告において報告されたアメーバ赤痢は、赤痢アメーバという原虫の感染を原因とする病気です。

アメーバ赤痢の原因は、大腸に寄生する赤痢アメーバと呼ばれる原虫の一種です。栄養型(いわゆるアメーバー運動をして活発に動く)と嚢子型(シスト)、2つの形態を取り、外部環境に強い嚢子型(シスト)を摂取することで経口感染します。具体的には、海外旅行などで汚染された飲食物を摂取することや性行為が原因で感染し、典型例は粘血便などの下痢、テネスムス(しぶり腹)、腹痛で発症します。まれに肝膿瘍や脳・肺・皮膚などの腸管外に合併症を来します。

細菌性赤痢と原因は異なりますが、ともに赤い便(赤痢)をきたし、感染地域である海外で生水、氷、生野菜や生の魚介類、カットフルーツなどから感染することが多いので海外旅行の際には注意してください。

 

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京都府感染症情報センターからのコメント

(2019年第6週:平成31年2月4日~平成31年2月10日)No.349

 

京都小児重症患者診療情報システム管理部 長村敏生

 

インフルエンザの報告数は定点あたり22.37件と今週減少傾向です。府内の全地域において、引き続き警報レベルとなっており、ピークは過ぎたと思われますが引き続き感染予防に留意してください。

全数報告対象の感染症は、結核が9件、細菌性赤痢が1件、A型肝炎とレジオネラ症がそれぞれ2件、侵襲性肺炎球菌感染症と麻しんがそれぞれ2件、水痘(入院例)・風しんがそれぞれ1件、百日咳が3件報告されました。

また、基幹定点の報告としてマイコプラズマ肺炎とロタウイルスによる感染性胃腸炎がそれぞれ1件、眼科定点の報告として、流行性角結膜炎が3件報告されました。

インフルエンザの報告数は3週連続で減少し、ピークは過ぎたと思われます。今年はA香港型のH3N2と2009年に新型インフルエンザとして流行したH1N1が並行して流行しています。H1N1はインフルエンザ脳症を引き起こしやすいとされており、今シーズンではインフルエンザ脳症の患者数は127人報告されています。意識障害や全身性の痙攣などの症状があり、子供に多いですが今シーズンすでに1歳から40代までの5人の死亡が報告されています。

ウイルスの活動は温度と湿度に関係しますので少なくとも3月までは感染に警戒が必要です。

 

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(2019年第4週:平成31年1月21日~平成31年1月27日)No.347

 

京都小児重症患者診療情報システム管理部 長村敏生

 

インフルエンザの報告数は定点あたり50.44件と今週も高水準です。府内の全地域において、引き続き警報レベルとなっており、乙訓では定点あたり82.43件と特に多い報告となりました。京都市内でも報告数が急増しています。今後さらなる流行の拡大が予想されますので注意してください。

全数報告対象の感染症は、結核が5件、腸管出血性大腸菌感染症が1件、クロイツフェルト・ヤコブ病・侵襲性インフルエンザ菌感染症・侵襲性肺炎球菌感染症・百日咳がそれぞれ1件、水痘(入院例)と風しんがそれぞれ2件が報告されました。また、基幹定点の報告としてマイコプラズマ肺炎が4件、眼科定点の報告として、流行性角結膜炎が3件報告されました。

29日、京都府内で麻疹の発症が確認されました。今年に入って2人目の発症となります。麻疹ではカタル期に高熱となり、その後一過性に解熱することがありますが、その後再度発熱がおこり全身に発疹が出現します。特徴的なものとして、口腔内のコプリック斑が知られています。

今回は麻疹の診断の前に公共交通機関を利用していたため不特定多数の人と接触している可能性があります。発熱や発疹を認めた際はインフルエンザだけでなく麻疹の可能性も考慮して医療機関に連絡のうえ受診してください。

 

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(2019年第3週:平成31年1月14日~平成31年1月20日)No.346

 

京都小児重症患者診療情報システム管理部 長村敏生

 

インフルエンザの報告数が定点あたり51.17件と今週も増加しています。府内の全地域において警報レベルとなっており、山城北では定点あたり68.88件と特に多い報告となりました。京都市内でも報告数が急増しています。今後さらなる流行の拡大が予想されますので注意してください。

全数報告対象の感染症は、結核が13件、E型肝炎・オウム病・デング熱とレジオネラ症がそれぞれ1件、カルバペネム耐性腸内細菌感染症が4件、クロイツフェルト・ヤコブ病・梅毒と麻しんがそれぞれ1件、侵襲性インフルエンザ菌感染症・百日咳と風しんがそれぞれ2件報告されました。また、眼科定点の報告として、流行性角結膜炎が2件報告されました。

インフルエンザの合併症の一つに重度の中枢神経症状を呈するインフルエンザ関連脳症(インフルエンザ脳症)があります。成人例に比べ、0-4歳、5-19歳の報告数が多くなっています。しかし毎シーズン60-100例の報告のうち、成人例は10-35%みられるので注意が必要です。これまでインフルエンザ脳症報告数とインフルエンザ定点あたり報告数は相関しており、今シーズンも今後増加が危惧されます。インフルエンザ脳症の悪化因子として、非ステロイド系解熱剤のうちジクロフェナクナトリウム、メフェナム酸は小児には基本的に使用しないようにとされているますので、解熱剤が必要な場合はなるべくアセトアミノフェンを使用します。

 

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(2019年第2週:平成31年1月7日~平成31年1月13日)No.345

 

京都小児重症患者診療情報システム管理部 長村敏生

 

インフルエンザの報告数が定点あたり35.50件と急激に増加しています。府内の各地域において報告数が増加しており、中丹西では定点あたり49.60件、山城北では46.24件、南丹では43.25件と特に多い報告となりました。京都市内でも報告数が急増しています。今後さらなる流行の拡大が予想されますので注意してください。

全数報告対象の感染症は、結核が3件、腸管出血性大腸菌感染症が2件、レジオネラ症が1件、アメーバ赤痢・カルバベネム耐性腸内細菌感染症・劇症型溶血性レンサ球菌感染症と侵襲性肺炎球菌感染症がそれぞれ1件、百日咳が2件報告されました。また、基幹定点の報告としてロタウイルスによる感染性胃腸炎が1件、眼科定点の報告として、流行性角結膜炎が10件報告されました。

インフルエンザの報告数が、さらに増加し府内で警報レベルとなりました。例年1月下旬から2月にかけて警報レベルに達することが多いですが、平成28年度、29年度と比較しても早い時期に警報レベルに達しています。2018年第20週~2018年第2週までに検出されたウイルスの状況をみると、AH1pdm09が最も多くB型はまだほとんど分離されていません。インフルエンザは飛沫感染、接触感染で伝播します。飛沫感染対策としての咳エチケット(咳が出ている人がマスクをする)、接触感染対策としての手洗い等を徹底してください。また高齢者や持病で治療中のかたは重症化のリスクが高くなります。医療・福祉施設へ訪問する際は症状が疑われる方は自粛してください。

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京都府感染症情報センターからのコメント

(2018年第52週:平成30年12月24日~12月30日

2019年第1週:平成30年12月31日~平成31年1月6日)No.344

 

京都小児重症患者診療情報システム管理部 長村敏生

 

インフルエンザの報告数が定点あたり14.72件と急激に増加し、京都府は注意報レベルに入りました。山城北、山城南ではそれぞれ定点あたり32.63件、39.00件とで警報レベルとなっています。また中丹東をのぞく全地域と京都市北区、上京区、中京区、下京区、南区で注意報レベルとなっています。感染性胃腸炎は、定点当たり報告数は2.32件と減少しています。水痘は、乙訓で定点あたり1.00件と注意報レベルとなっています。

全数報告対象の感染症は、結核が2件、劇症型溶血性レンサ球菌感染症と後天性免疫不全症候群がそれぞれ1件 、侵襲性肺炎球菌感染症が2件報告されました。また、期間定点の報告としてロタウイルスによる感染性胃腸炎が1件、眼科定点の報告として、流行性角結膜炎が2件報告されました。

インフルエンザの報告数が2019年に入り急増しています。報告はほとんどがA型です。1月6日現在、府内での学級閉鎖は延べ10校となっています。発熱に加えて咳などの上気道炎・呼吸器症状のある方は、咳エチケットやマスク着用などの対策を行い、早めに医療機関を受診しましょう。免疫力が低下している方、高齢者、乳幼児は特に気をつけてください。医療機関にお勤めの皆様も、咳エチケット・マスク着用や手洗いなど、インフルエンザを含む感染症の予防対策について周知徹底をお願いいたします。新規治療薬など治療法の進歩やワクチンの効果も期待できますが、感染拡大予防の第一歩はこれらの徹底です。

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(2018年第51週:平成30年12月17日~12月23日)No.343

 

京都小児重症患者診療情報システム管理部 長村敏生

 

インフルエンザの報告数が定点あたり3.79件と増加しています。山城南では、定点あたり10.00件で注意報レベルとなっています。感染性胃腸炎も定点当たり報告数は7.74件と今週も増加しています。水痘は定点あたり0.47件、乙訓、南丹、京都市西京区、伏見区で注意報レベルとなっています。

全数報告対象の感染症は、結核が4件、腸管出血性大腸菌感染症が1件、アメーバ赤痢とカルバペネム耐性腸内細菌感染症がそれぞれ1件、百日咳が7件報告されました。また、眼科定点の報告として、流行性角結膜炎が5件報告されました。

インフルエンザの報告数が増加しています。インフルエンザウイルスで耳にするH3N2やH1N1といった分類はA型インフルエンザのタイプを表しています。これらはウイルスの表面に存在する糖蛋白違いをあらわし、HAは16種類、NAは9種類が報告されています。この組み合わせによってヒト、ブタ、トリなどに分布しています。これまでにヒトで流行をみせたものはH1(H1N1:ソ連型)、H2、H3(H3N2:A香港型)の亜型のウイルスのみです。

カモは、現在知られているHA亜型とNA亜型のすべてのウイルスを保有しておりいわゆる自然宿主とされています。これらのウイルスが家畜やヒトでのウイルスの供給源となり毎年新しい流行を起こします。

ウイルスはヒトに感染した際も絶えず変異を起こすため、毎年流行をみせることになり、1シーズンの間にA型とB型に2度感染することや、A型のなかでも異なる亜型のウイルスに再感染することがあります。ワクチン接種をしていても、また一度感染していても感染のリスクはあるため予防を徹底しましょう。

 

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(2018年第50週:平成30年12月10日~12月16日)No.342

 

京都小児重症患者診療情報システム管理部 長村敏生

 

感染性胃腸炎の京都府全体での定点当たり報告数は、7.32件と今週も増加しています。インフルエンザは、定点あたり1.05件となりました。水痘は、定点あたり0.58件、乙訓で警報レベル、南丹、京都市中京区、右京区、南区で注意報レベルとなっています。

全数報告対象の感染症は、結核が11件、腸管出血性大腸菌感染症が1件、レジオネラ症が1件、アメーバ赤痢とカルバペネム耐性腸内細菌感染症がそれぞれ1件 、侵襲性肺炎球菌感染症が4件、百日咳が6件、風しんが2件報告されました。また、眼科定点の報告として、流行性角結膜炎が4件報告されました。

今週の感染症発生動向調査の結果にて、京都府のインフルエンザの報告数が定点あたり1.05件と流行開始の目安となる1.00件を上回り、流行期に入りました。地域別にみても、南丹、中丹東、中丹西を除くすべての地域で流行期に入っています。予防接種は、感染を予防するものではありません。加湿、マスク、うがい、手洗いなどの基本的な予防が重要となります。体調の悪い時は人ごみへの外出は控えましょう。過労や睡眠不足は免疫力低下を招き感染のリスクが高まります。新薬が加わり治療の選択肢が増えていますが、感染予防、拡大予防に努めてください。

 

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(2018年第49週:平成30年12月3日~12月9日)No.341

 

京都小児重症患者診療情報システム管理部 長村敏生

 

感染性胃腸炎の京都府全体での定点当たり報告数は、5.76件と増加しています。インフルエンザは、定点あたり0.62件報告されました。伝染性紅斑が定点あたり0.37件報告されています。京都市右京区では定点あたり2.22件と警報レベルとなっています。水痘は南丹、京都市左京区、右京区、下京区で注意報レベルとなっています。

全数報告対象の感染症は、結核が6件、腸管出血性大腸菌感染症が1件、レジオネラ症が1件、カルバペネム耐性腸内細菌感染症、急性弛緩性麻痺と侵襲性肺炎球菌感染症がそれぞれ1件、風しんと麻しんがそれぞれ2件、百日咳が3件報告されました。また、基幹定点から、マイコプラズマ肺炎が1件、眼科定点から、流行性角結膜炎が4件報告されました。

急性弛緩性麻痺の報告がありました。急性弛緩性麻痺は、ウイルスなどの種々の病原体の感染により弛緩性の運動麻痺症状を呈する感染症と定義され、多くは何らかの先行感染を伴い、手足や呼吸筋などに筋緊張の低下、筋力低下、深部腱反射の減弱ないし消失、筋萎縮などの急性の弛緩性の運動麻痺症状を呈します。

急性弛緩性麻痺の概念には、急性弛緩性脊髄炎、急性脳脊髄炎、急性脊髄炎、ギラン・バレー症候群、急性横断性脊髄炎、Hopkins症候群等も含まれ感染症法では、①15歳未満 ②急性の弛緩性の運動麻痺症状を伴って死亡した者、又は当該症状が24時間以上消失しなかった者 ③明らかに感染性でない血管障害、腫瘍、外傷、代謝障害などでないこと、及び痙性麻痺でないことをすべて満たした場合に届け出が必要となります。診断には血液、髄液、呼吸器由来検体、便、尿が必要です。詳しい届出方法や検体採取についてはホームページを参考にしてください。

 

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