京都府感染症情報センターからの情報

京都府感染症情報センターからのコメント

(2018年第41週:平成30年10月8日~10月14日)No.333

 

京都小児重症患者診療情報システム管理部 長村敏生

 

感染性胃腸炎の京都府全体での定点当たり報告数は、2.43件その他の感染症も先週から減少しています。

全数報告対象の感染症は、結核が6件、腸管出血性大腸菌感染症が1件、レジオネラ症が3件、カルバペネム耐性腸内細菌感染症・梅毒と風しんがそれぞれ1件、後天性免疫不全症候群と侵襲性肺炎球菌感染症がそれぞれ3件、百日咳が6件報告されました。また、基幹定点の報告として、マイコプラズマ肺炎が2件、流行性角結膜炎が6件報告されました。

風疹の流行が続いています。全国の感染者数は1100人を超え、2013年以来の大流行となっています。京都府でも10月14日時点で9件の発生がみられました。多くは30代から50代の男性が占めています。ワクチンの2回接種で99%免疫を獲得できますがこの世代では交代保有率が低いことがわかっています。この大流行で先天性風疹症候群の懸念が広がっています。妊娠中の女性が風疹に感染すると、胎児にも感染し難聴や心疾患、白内障などの障害がでる恐れがあります。1万6000人をこえる大流行となった2013年には45人の先天性風疹症候群の患者さんが発生し、11人が亡くなりました。

これまで風疹にかかったことがない方、風しんの予防接種を受けていない方及び、妊娠を希望する女性等は、医療機関で、風しん抗体検査と、必要に応じて風しんワクチンの予防接種をお勧めします。

京都府では妊娠を希望される方を対象に「京都府風しん抗体検査事業」を実施しています。詳しくは、京都府ホームページ「風しん抗体検査の無料実施についてhttp://www.pref.kyoto.jp/kentai/news/fushin.html」をご覧ください。

 

京都府感染症情報センターホームページのアドレス

http://www.pref.kyoto.jp/idsc/

京都府感染症情報センターからの情報

京都府感染症情報センターからのコメント

(2018年第40週:平成30年10月1日~10月7日)No.332

 

京都小児重症患者診療情報システム管理部 長村敏生

 

感染性胃腸炎の京都府全体での定点当たり報告数は、3.19件と増加、RSウイルス感染症は1.10件と減少しています。その他の感染症は先週までと比べて著変ありません。

全数報告対象の感染症は、結核が8件、腸管出血性大腸菌感染症が2件、デング熱が1件、カルバペネム耐性腸内細菌感染症・急性弛緩性麻痺と風しんがそれぞれ1件、侵襲性肺炎球菌感染症と百日咳がそれぞれ2件。基幹定点の報告として、細菌性髄膜炎が1件、流行性角結膜炎が16件報告されました。

腸管出血性大腸菌感染症が増加しています。第19週から増加しはじめ、第25週には全国で264例が報告されました。第37週までの累積報告数は3002例となり2014年の3226例につぐ報告数となっています。報告が多いのは東京都や埼玉県、神奈川県など首都圏ですが集団発生事例は全国の複数の自治体から報告されています。重篤な合併症である溶血性尿毒症症候群(HUS)は累計52例で女性と低年齢の小児での発症が多いという結果でした。

食肉の十分な加熱処理、食材調理器具の洗浄や手洗いの励行により感染、食中毒予防を行うことが重要です。低年齢の小児や高齢者など抵抗力の弱い方は肉の生食をさけ、十分に加熱してください。大腸菌を死滅させるには中心温度が75℃で1分以上の加熱が必要です。また野菜が原因とされる腸管出血性大腸菌感染症も報告されており十分な洗浄と加熱を行ってください。

 

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京都府感染症情報センターからの情報

京都府感染症情報センターからのコメント

(2018年第39週:平成30年9月24日~9月30日)No.331

 

京都小児重症患者診療情報システム管理部 長村敏生

 

感染性胃腸炎の京都府全体での定点当たり報告数は、2.58件、RSウイルス感染症は1.44件と減少しています。その他の感染症は先週までと比べて著変ありません。

全数報告対象の感染症は、結核が4件、A型肝炎が1件、カルバペネム耐性腸内細菌感染症と風しんがそれぞれ1件、百日咳が3件報告されました。また、基幹定点の報告として、細菌性髄膜炎が1件、流行性角結膜炎が13件報告されました。

風疹の報告が続いています。今週も1週間で新たに104人の新規風疹患者が報告され、今年の累積患者が770人になりました。1週間あたりの患者数は3週連続100人を超えています。東京都、千葉県、神奈川県などの首都圏での報告は依然多いですが、大阪でも13件の報告があり、京都府でも患者がみられています。他の呼吸器感染症が増加する時期でもあり、皮疹などがでていない段階では風疹と気づかないこともあります。妊婦に感染することによって引き起こされる先天性風疹症候群は命にかかわる疾患です。

ワクチンを接種したか記憶にない方は抗体価の確認をおすすめします。過去に感染したと思っている方も検査で確認することを検討してください。

 

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京都府感染症情報センターからの情報

京都府感染症情報センターからのコメント

(2018年第38週:平成30年9月17日~9月23日)No.330

 

京都小児重症患者診療情報システム管理部 長村敏生

 

感染性胃腸炎の京都府全体での定点当たり報告数は、2.96件、RSウイルス感染症は2.03件とやや減少しています。その他の感染症は先週までと比べて著変ありません。

全数報告対象の感染症は、結核が5件、腸管出血性大腸菌感染症が2件、レジオネラ症が3件、ウイルス性肝炎・カルバペネム耐性腸内細菌感染症・侵襲性肺炎球菌感染症と水痘(入院例)がそれぞれ1件、後天性免疫不全症候群・百日咳がそれぞれ2件報告されました。また、基幹定点の報告として、流行性角結膜炎が13件報告されました。

風疹の報告が続いています。国立感染症研究所は9月16日までの1週間で127人の新規風疹患者が報告され、今年の累積患者が642人になったと発表しました。すでに昨年1年間の6.9倍となっています。東京都、千葉県、神奈川県などの首都圏での報告が多いですが、愛知県や静岡県など関東地方以外でも報告がされています。風疹感染初期はかぜなどの症状に似ており、気づかないまま感染を広げてしまうことがあります。

風疹は予防可能な疾患ですので、ワクチン接種をされていない方はぜひ検討してください。

 

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京都府感染症情報センターからの情報

京都府感染症情報センターからのコメント

(2018年第37週:平成30年9月10日~9月16日)No.329

 

京都小児重症患者診療情報システム管理部 長村敏生

 

感染性胃腸炎の京都府全体での定点当たり報告数は、3.25件、RSウイルス感染症は2.43件と上位をしめています。その他の感染症は先週までと比べて著変ありません。

全数報告対象の感染症は、結核が11件、腸管出血性大腸菌感染症が1件、デング熱が1件、レジオネラ症が2件、急性脳炎・後天性免疫不全症候群と侵襲性肺炎球菌感染症がそれぞれ1件、百日咳が4件報告されました。また、基幹定点の報告として、流行性角結膜炎が15件報告されました。

デング熱の報告がありました。デング熱は決して死亡率の高い疾患ではありませんが、まれにデング出血熱など重症化して死に至ることがあります。デング熱、ジカウイルス感染症、マラリア、チクングニア熱など、蚊媒介感染症への対策にご留意ください。

具体的には、野外活動では長袖・長ズボンを着用し、素足でのサンダル履きは避け、虫除け剤を使用して蚊に刺されないようご対応下さい。気温が低下し蚊の活動性があがっていますので注意してください。

 

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京都府感染症情報センターからのコメント

(2018年第36週:平成30年9月3日~9月9日)No.328

 

京都小児重症患者診療情報システム管理部 長村敏生

 

感染性胃腸炎の京都府全体での定点当たり報告数は、3.62件、RSウイルス感染症は2.35件といずれも増加しています。その他の感染症は先週までと比べて著変ありません。

全数報告対象の感染症は、結核が4件、腸管出血性大腸菌感染症が1件、カルバベネム耐性腸内細菌感染症が1件、風しんが2件報告されました。

また、基幹定点から、マイコプラズマ肺炎が 1件、眼科定点から、流行性角結膜炎が5件報告されました。

風しんの報告が続いています。感染後2週間で、発熱、発疹、リンパ節腫脹などの症状がほぼ同時に出現します。発疹は粟粒大の丘疹で、全身に出ますが、数日で色素沈着を残さず消失します。眼の結膜充血が特徴的です。多くの例で、口腔内にForchheimer spots(フォルヒハイマー斑)という点状紅斑・紫斑が見られます。同様の症状を示す疾患は多く、臨床症状のみで風疹と診断することは困難です。特に成人では修飾麻疹のように非特異的な症状を示すものもあります。発疹の症状が出た際は、風疹、麻疹を念頭に置いて診断することが重要です。

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京都府感染症情報センターからのコメント

(2018年第35週:平成30年8月27日~9月2日)No.327

 

京都小児重症患者診療情報システム管理部 長村敏生

 

感染性胃腸炎の京都府全体での定点当たり報告数は、2.53件、手足口病は定点あたり0.92件とよこばいです。RSウイルス感染症は定点あたり1.52件とやや増加しています。その他の感染症は先週までと比べて著変ありません。

全数報告対象の感染症は、結核が3件、腸管出血性大腸菌感染症が2件、A型肝炎とレジオネラ症が1件、アメーバ赤痢・カルバペネム耐性腸内細菌感染症・急性脳炎・劇症型溶血性レンサ球菌感染症感染症と侵襲性肺炎球菌感染症がそれぞれ1件、百日咳と風しんがそれぞれ2件 報告されました。また、基幹定点の報告として、流行性角結膜炎が5件報告されました。

先週に続き首都圏で風疹患者が急増しています。8月20日から26日の間に新たに84人の患者が報告されており、京都府でも今週2人の報告がありました。全国的に男性患者数が女性患者数を大きく上回り、多くはワクチン接種歴がないか不明の30-50代です。妊娠20週ころまでの女性が風疹ウイルスに感染すると胎児にも風疹ウイルスが感染し、先天性風疹症候群の児がうまれる可能性があります。2012-2013年の大流行の際は全国で1万6千人を超える患者が出たうえに、45人の赤ちゃんに先天性風疹症候群の障害がみられました。

女性は妊娠前に2回の風疹含有ワクチンをうけておくこと、さらに妊婦の周囲の方もワクチン接種を行うことが重要です。30~50代の男性で風疹の罹患歴がなく、母子手帳でワクチン接種歴が不明な場合は早めにワクチンを接種しましょう。

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京都府感染症情報センターからのコメント

(2018年第34週:平成30年8月20日~8月26日)No.326

 

京都小児重症患者診療情報システム管理部 長村敏生

 

感染性胃腸炎の京都府全体での定点当たり報告数は、2.64件と増加しています。手足口病は定点あたり0.66件とよこばいですが、京都市伏見区では、警報レベルが続いています。その他の感染症は先週までと比べて著変ありません。

全数報告対象の感染症は、結核が3件、腸管出血性大腸菌感染症が1件、レジオネラ症が1件、急性脳炎・侵襲性肺炎球菌感染症がそれぞれ1件、百日咳が3件報告されました。また、基幹定点の報告として、流行性角結膜炎が5件報告されました。

首都圏で風疹患者が急増しています。2018年第1~33週の風疹患者累積報告数は184人となり、すでに2016,2017年の年間累積報告数を超えています。今回、風疹に感染した患者の多くは過去にワクチンをうけておらず、感染したことがない30代から50代の成人男性であることが報告されています。

また国外での感染が推定される症例は5%と少なく、国内流行の可能性が高いとされています。妊娠20週ころまでの女性が風疹ウイルスに感染すると胎児にも風疹ウイルスが感染し、先天性風疹症候群の児がうまれる可能性があります。妊娠中はワクチン接種ができません。女性は妊娠前に2回の風疹含有ワクチンをうけておくこと、さらに妊婦の周囲の方もワクチン接種を行うことが重要です。30~50代の男性で風疹の罹患歴がなく、母子手帳でワクチン接種歴が不明な場合は、早めにワクチンを接種しましょう。

 

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京都府感染症情報センターからのコメント

(2018年第32週:平成30年8月13日~8月19日)No.325

 

京都小児重症患者診療情報システム管理部 長村敏生

 

感染性胃腸炎の京都府全体での定点当たり報告数は、2.05件とさらに減少しました。手足口病は定点あたり0.55件と減少していますが、京都市伏見区では警報レベルが続いています。その他の感染症は先週までと比べて著変ありません。

全数報告対象の感染症は、結核が3件、腸管出血性大腸菌感染症が1件、E型肝炎が1件、アメーバ赤痢と劇症型溶血性レンサ球菌感染症がそれぞれ1件、百日咳が3件報告されました。また、基幹定点の報告として、流行性角結膜炎が3件報告されました。

今週も腸管出血性大腸菌感染症、E型肝炎、アメーバ赤痢と食事摂取にかかわる感染症の報告が続いています。そのほかにもカンピロバクター感染症など食中毒の原因となる疾患の報告もみられます。

調理器具の消毒・手入れなどの衛生に留意することが食中毒の予防に重要です。また食事前の手洗いを十分に行うことでヒトからヒトへの2次感染を予防してください。

 

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京都府感染症情報センターからの情報

京都府感染症情報センターからのコメント

(2018年第32週:平成30年8月6日~8月12日)No.324

 

京都小児重症患者診療情報システム管理部 長村敏生

 

感染性胃腸炎の京都府全体での定点当たり報告数は、2.09件とさらに減少しました。手足口病は定点あたり1.12件と減少し、京都市伏見区では警報レベルが続いています。その他の感染症は先週までと比べて著変ありません。

全数報告対象の感染症は、結核が7件、腸管出血性大腸菌感染症が2件、レジオネラ症が1件、後天性免疫不全症候群・侵襲性インフルエンザ菌感染症と水痘がそれぞれ1件、百日咳が3件報告されました。また、基幹定点からマイコプラズマ肺炎が1件、眼科定点から流行性角結膜炎が3件報告されました。

水痘は、水痘帯状疱疹ウイルスというウイルスによって引き起こされる発疹性の病気です。空気感染、飛沫感染、接触感染により広がり、潜伏期間は感染から2週間程度と言われています。発疹の発現する前から発熱が認められ、典型的な症例では、発疹は紅斑から始まり、水疱、膿疱を経て痂皮化して治癒するとされています。発疹出現後、大体6日間前後は感染性があるとされます。治療は軽症例では対症療法が基本ですが、重症例や重症化のおそれのある場合抗ウイルス薬が使用されます。9歳以下での発症が90%以上を占めると言われています。合併症としては、皮疹への細菌感染、熱性痙攣、ウイルス性肺炎、脳炎、無菌性髄膜炎などがあります。成人での水痘も稀に見られますが、成人発症の場合、水痘そのものが重症化する危険が高いと言われています。発症予防に、水痘ワクチン接種が有効です。1回の接種により重症の水痘をほぼ100%予防でき、2回の接種により軽傷の水痘も含めてその発症を予防できると考えられています。

 

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