京都府感染症情報センターからの最新情報

京都府感染症情報センターからの最新情報

(2024年第23週:令和6年6月3日~令和6年6月9日)No.623

京都小児重症患者診療情報システム管理部 長村敏生

今週のコメント:2024年第23週の報告です。

手足口病が急増し、京都府で警報レベルになりました。先週警報レベルの地域に加え、京都市左京区・西京区、中丹西、山城北でも警報レベルになりました。今週も、乙訓と山城南の咽頭結膜熱の警報レベルは継続しています。

全数報告対象の感染症は、結核が5件、デング熱が1件、クロイツフェルト・ヤコブ病が1件、侵襲性肺炎球菌感染症が4件、梅毒が2件報告されました。また、基幹定点からマイコプラズマ肺炎が3件、眼科定点からは流行性角結膜炎4件報告されました。

手足口病の感染拡大が続いています。全国的にも感染は急増傾向です。5歳以下が中心の感染症ですが、大人も罹患します。感染症発生動向調査で報告されるのは小児科での診断数のみですので、大人は報告者数以上に罹患している可能性があります。

基本的には軽い発熱と水疱性の発疹のみで数日で改善しますが、口の痛みで飲水量が減ることが懸念されます。脱水に注意してください。まれに髄膜炎や脳炎、心筋炎などを合併し重症化します。高熱が2日以上続いたり、頭痛や嘔吐、呼びかけに答えずぐったりしていたりする場合はすぐに医療機関を受診してください。

有効なワクチンや治療法はありません。ウイルスは目や鼻や口から侵入します。

感染しても発病しないままウイルスを排泄することもあると考えられています。

保育施設や幼稚園、学校、家庭での流水・石けんを用いたこまめな手洗い、うがい、おむつの適正処理に努めてください。園はもちろん、家庭内でもタオルや食器の共有は避けてください。消毒は通常のアルコール消毒では効果不十分なので、酸性アルコールもしくは次亜塩素酸ナトリウムを用いてください。ウイルスは感染力がありますが、適切な対処法を実践することで感染を予防できます。拡大防止に努めましょう。

また今週はクロイツフェルト・ヤコブ病(CJD)の報告もありました。報告があったのは古典型で、家族内での発症歴がない孤発例です。牛海綿状脳症(BSE)に起因するとされる変異型CJDとは別の病態です。一般に空気感染や経口感染はないとされています。

 

 

京都府感染症情報センターホームページのアドレス:http://www.pref.kyoto.jp/idsc/

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(2024年第22週:令和6年5月27日~令和6年6月2日)No.622

京都小児重症患者診療情報システム管理部 長村敏生

今週のコメント:2024年第22週の報告です。

手足口病が増加しています。京都市南区・伏見区、乙訓、山城南、南丹は先週に引き続き警報レベルで、今週新たに京都市右京区でも警報レベルになりました。乙訓と山城南では咽頭結膜熱の警報レベルも継続しています。

 

 

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(2024年第21週:令和6年5月20日~令和6年5月26日)No.621

京都小児重症患者診療情報システム管理部 長村敏生

今週のコメント:2024年第21週の報告です。

今週は定点報告対象疾患の手足口病の報告数が20週の1.99から3.71まで増加し、京都市南では先週に続き警報レベル、また京都市伏見区・乙訓・山城南・南丹の各保健所でも新たに警報レベルになりました。咽頭結膜熱は山城南と乙訓で今週も引き続き警報レベルです。

 

 

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(2024年第19週:令和6年5月6日~令和6年5月12日)No.619

京都小児重症患者診療情報システム管理部 長村敏生

今週のコメント:2024年第19週の報告です。

連休があけて、全数・定点とも全体に報告が増えてきました。

先週に引き続き、定点報告対象疾患の咽頭結膜熱は今週も山城南と乙訓で警報レベルが続いています。年齢別では1,2歳の感染が特に多くみられます。標準予防策の取りにくい年齢ではありますが、引き続き感染対策に努めてください。RSウイルスはようやく減少傾向に入ったようです。

全数報告対象の感染症は、結核が 5 件、デング熱レプトスピラ症が各1件、レジオネラ症が3件報告されました。またカルバペネム耐性腸内細菌目細菌感染症侵襲性肺炎球菌感染症水痘(入院例)梅毒が1件報告されました。また、眼科定点から流行性角結膜炎が5件報告されました。

またデング熱の報告が先週に引き続きありました。デング熱は主に熱帯・亜熱帯でみられる蚊により媒介される疾患で、アジアでは昨年から今年にかけて感染の急増がみられています。また南米でも今年に入ってからの感染者はすでに過去最大の年間感染者数を更新しています。死亡率は高くありませんが、まれにデング出血熱など重症化して死に至ることがあります。感染流行地に渡航する際は、野外活動では長袖・長ズボンを着用し、素足は避け、虫除け剤を使用し、設備の整った宿に泊まるなど蚊に刺されないようにして下さい。帰国後に発熱や発疹がみられた場合は、医療機関を受診する際に渡航歴を伝えてください。

ワクチンはまだ日本では承認は下りていませんが、武田薬品工業が開発したデング熱ワクチン「QDENGA®」が2024年5月15日に世界保健機関(WHO)により事前承認されるなど、世界では接種の輪が広がっています。

 

 

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(2024年第17週:令和6年4月22日~令和6年4月28日)No.617

京都小児重症患者診療情報システム管理部 長村敏生

今週のコメント:2024年第17週の報告です。

定点報告対象疾患の感染性胃腸炎の京都府の報告数は今週6.0件に増加しました。保健所別では、京都市右京区でA群溶血性レンサ球菌咽頭炎の警報レベルが継続しています。咽頭結膜熱は山城南の警報レベルが継続しているほか、乙訓でも報告数が3.75件で新たに警報レベルになりました。

全数報告対象の感染症は、結核が5件、腸管出血性大腸菌感染症が1件、カルバペネム耐性腸内細菌目細菌感染症が1件、急性脳炎が1件、侵襲性肺炎球菌感染症が2件、梅毒が2件報告されました。また、眼科定点では流行性角結膜炎が5件報告されました。

感染性胃腸炎は、夏場は高温多湿であることが影響し、食品中の細菌が繁殖しやすくなり、発症します。京都府でもすでに夏日が観測されていますので、食物管理には注意してください。アウトドアレジャーを楽しむ方も増えるこの時期、食品の十分な加熱処理、生肉生魚等に触れた調理器具の使い分けや十分な消毒や洗浄、手洗いの励行も大切です。

また、嘔吐・下痢の症状がみられた場合は十分に水分摂取をし、脱水を予防してください。飲水が困難な場合は速やかに医療機関を受診しましょう。ご家族などにそのような症状の方が出られた場合は、汚物の処理の際に自身も感染しないよう手袋等を装着したうえで処理をし、処理後の手指消毒も十分に行ってください。

 

 

 

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(2024年第15週:令和6年4月8日~令和6年4月14日)No.615

京都小児重症患者診療情報システム管理部 長村敏生

今週のコメント:2024年第15週の報告です。

定点報告対象の疾患では、京都市右京区のA群溶血性レンサ球菌咽頭炎は定点当り報告数5.8件で今週も警報レベルが継続しています。水痘は乙訓で定点当り2.5件報告され、警報レベルになっています。そのほか、京都府全体のRSウイルス感染症の報告数が第12週から少しずつ増加しており、今週は1.87件になりました。全数報告対象の感染症は、結核が6件、百日咳が2件報告されました。また、基幹定点の報告はありませんでしたが、眼科定点の報告として流行性角結膜炎が3件報告されました。

A群溶血性レンサ球菌咽頭炎は、学童期の小児に最も多いとされ、主に冬季および春から初夏にかけて流行が見られます。症状としては、発熱、咽頭痛の他、皮膚の発疹や舌がイチゴ状に赤くなる症状を呈することがあります。A群溶血性レンサ球菌は上気道炎や化膿性皮膚感染症などの原因菌としてよくみられ、菌の侵入部位によって多彩な症状を引き起こします。さらに劇症型溶血性レンサ球菌感染症という重篤な病態を生じることもあります。

予防としては「手洗い」、「うがい」、「マスク」といった基本的な感染予防対策をしっかり行ってください。

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(2024年第14週:令和6年4月1日~令和6年4月7日)No.614

京都小児重症患者診療情報システム管理部 長村敏生

今週のコメント:2024年第14週の報告です。

インフルエンザの全国の定点当り報告数が5.1になり、終息基準値の10を下回りました。また、警報レベルが継続していた山城北の咽頭結膜熱も定点当り報告数が0.8まで減少し、終息基準値の1より少ない数値になりました。A群溶血性レンサ球菌咽頭炎の京都市右京区での定点当り報告数は4.6で、今週も警報レベルです。

全数報告対象の感染症は、結核が6件、アメーバ赤痢症が1件、カルバペネム耐性腸内細菌目細菌感染症(CRE)が各1件、 侵襲性肺炎球菌感染症梅毒 が 各2件 、また、基幹定点の報告として無菌性髄膜炎が1件報告されました。

CRE感染症は、グラム陰性菌による感染症の治療において重要な抗菌薬であるメロペネムなどのカルバペネム系抗菌薬等に対して耐性を示す腸内細菌科細菌による感染症の総称です。主に感染防御機能の低下した患者や外科手術後の患者、抗菌薬を長期にわたって使用している患者などに感染症を起こします。肺炎などの呼吸器感染症、尿路感染症、敗血症、髄膜炎、その他多様な感染症を起こし、しばしば院内感染の原因となるほか時に健常者に感染症を起こすこともあります。また無症状で腸管等に保菌されることもあります。

CRE感染症は薬剤耐性微生物による感染症の一つで2014年9月19日より5類全数把握疾患に追加され、発症者のみが届出対象となっています。特定の種類の抗菌薬や抗ウイルス薬等の抗微生物剤が効きにくくなる、又は効かなくなることを、「薬剤耐性(AMR)」と呼びます。こうした耐性を持った細菌やウィルスが増えると、従来の薬が効かなくなることから、これまでは軽症で回復できた感染症の治療が困難になり重症化・死亡に至る可能性が高まります。AMRの発生を防ぐためには、医療機関における抗菌薬の適切な使用とそのサーベイランスを含めた感染予防・管理が重要です。また、世界保健機関もAMRを深刻な健康上の脅威として取り上げており、我が国でもまん延防止に向けた取り組みが進められています。

 

 

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(2024年第13週:令和6年3月25日~令和6年3月31日)No.613

京都小児重症患者診療情報システム管理部 長村敏生

今週のコメント:

2024年第13週の報告です。

感染性胃腸炎が定点あたり4.61件、A群溶血性レンサ球菌咽頭炎が定点あたり2.13件と漸増しています。A群溶血性レンサ球菌咽頭炎は京都市右京区で定点あたり11.4件と警報レベルとなっています。また、咽頭結膜熱は山城北で定点あたり1.78件と警報レベルとなっています。

全数報告対象の感染症は結核が9件、レジオネラ症が1件、水痘が1件、梅毒が3件、また基幹定点の報告として無菌性髄膜炎が1件、マイコプラズマ肺炎が1件報告されました。

今週も含めて毎週のように梅毒の報告が続いています。梅毒トレポネーマという病原菌により全身に様々な症状が出る性感染症で、早期発見、早期治療が重要であるといえます。検査が遅れたり、治療せずに放置すると、脳や心臓にも重大な合併症を呈することがあります。また妊娠中の感染は、死産、早産、新生児死亡の原因になったり、生まれた子供にも重篤な障害が出たりすることがあります。梅毒は早期には軽い皮膚症状のみで消長することもあるので、検査により感染の有無を確認することが必要です。

 

 

新型コロナウイルス感染症の京都府内での発生状況(速報値)は次ページをご覧ください。

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(2024年第12週:令和6年3月18日~令和6年3月24日)No.612

京都小児重症患者診療情報システム管理部 長村敏生

今週のコメント:

2024年第12週の報告です。
インフルエンザの定点当り報告数が京都府内のすべての保健所で警報継続基準値を下回りました。ただし、全国の定点当り報告数は14.08で、今週も警報レベルは継続しています。

A群溶血性レンサ球菌咽頭炎は京都市右京区で、咽頭結膜熱は山城北で今週も警報レベルです。

(コロナウイルス以外にインフルエンザ発生状況も提示しています:事務局付記)

 

 

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(2024年第11週:令和6年3月11日~令和6年3月17日)No.611

京都小児重症患者診療情報システム管理部 長村敏生

今週のコメント:

2024年第11週の報告です。
全国のインフルエンザの警報レベルは今週も継続、京都府の保健所別でも京都市南区・伏見区、乙訓で警報レベルが継続しています。

A群溶血性レンサ球菌咽頭炎も京都市右京区では警報レベルが続いています。

今週は新たに咽頭結膜熱が山城北で警報レベルに、水痘が京都市右京区で注意報レベルになりました。

(インフルエンザ発生状況を提示しています:事務局付記)

 

 

新型コロナウイルス感染症の京都府内での発生状況(速報値)は次ページをご覧ください。

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