京都府感染症情報センターからの情報

京都府感染症情報センターからのコメント

(2018年第48週:平成30年11月26日~12月2日)No.340

 

京都小児重症患者診療情報システム管理部 長村敏生

 

感染性胃腸炎の京都府全体での定点当たり報告数は5.42件と増加しています。またインフルエンザが定点あたり0.57件報告されました。その他の感染症は先週から著変ありません。先週までの京都市左京区に加え、西京区、伏見区、乙訓でも水痘が注意報レベルとなっています。

全数報告対象の感染症は、結核が6件、クロイツフェルト・ヤコブ病と風しんがそれぞれ1件、侵襲性肺炎球菌感染症が3件、百日咳が4件報告されました。また、基幹定点の報告として、マイコプラズマ肺炎が1件、流行性角結膜炎が1件報告されました。

水痘の報告が続いています。例年冬から春にかけて増加しています。水痘は水痘帯状疱疹ウイルスというウイルスによって引き起こされる発疹性の病気です。空気感染、飛沫感染、接触感染により広がり、潜伏期間は感染から2週間程度と言われています。発疹の発現する前から発熱が認められ、典型的な症例では、発疹は紅斑から始まり、水疱、膿疱を経て痂皮化して治癒するとされています。発疹出現後、大体6日間前後は感染性があるとされます。治療は軽症例では対症療法が基本ですが、重症例や重症化のおそれのある場合抗ウイルス薬が使用されます。9歳以下での発症が90%以上を占めると言われています。合併症としては、皮疹への細菌感染、熱性痙攣、ウイルス性肺炎、脳炎、無菌性髄膜炎などがあります。成人での水痘も稀に見られますが、成人発症の場合、水痘そのものが重症化する危険が高いと言われています。2014年10月、1-2歳で2回の水痘ワクチン接種が定期接種に導入されました。定期接種に導入後、定点あたり年間報告数は2000-2011年平均に比べ、2017年時点では全体で77 %、<1歳、1-4歳は88%減少したと報告されています。ワクチン接種をした方も感染者との接触に注意してください。

 

京都府感染症情報センターホームページのアドレス

http://www.pref.kyoto.jp/idsc/

京都府感染症情報センターからの情報

京都府感染症情報センターからのコメント

(2018年第47週:平成30年11月19日~11月25日)No.339

 

京都小児重症患者診療情報システム管理部 長村敏生

 

感染性胃腸炎の京都府全体での定点当たり報告数は3.97件となっています。その他の感染症は、先週から著変ありません。京都市左京区で水痘が注意報レベルとなっています。

全数報告対象の感染症は、結核が6件、つつが虫病とレジオネラ症がそれぞれ1件、カルバペネム耐性腸内細菌感染症が2件、百日咳が1件報告されました。また、基幹定点から、マイコプラズマ肺炎が1件、眼科定点から流行性角結膜炎が7件報告されました。

今週、つつが虫病が一件報告されました。つつが虫病は、野山でツツガムシというダニに吸着され、リケッチアという細菌の一種に感染することで発症します。つつが虫病では、ダニの吸着後1~2週間してから39度以上の高熱で発症し、ついで体幹を中心として発疹がみられるようになります。頭痛、倦怠感、肝機能検査異常をともなうことが多く、重症例では播種性血管内凝固症候群という合併症をきたし生命に関わる場合があります。

ダニの刺し口は特徴的で黒いかさぶたがついたようになっており、発疹とともにつつが虫病を疑うきっかけになります。なお、つつが虫病は東南アジアなど他地域でも発生しており、海外で感染することもあります。

 

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京都府感染症情報センターからの情報

京都府感染症情報センターからのコメント

(2018年第46週:平成30年11月12日~11月18日)No.338

 

京都小児重症患者診療情報システム管理部 長村敏生

 

感染性胃腸炎の京都府全体での定点当たり報告数は5.04件となっています。その他の感染症は先週から著変ありません。京都市左京区で感染性胃腸炎が定点あたり21.00件と先週に続き警報レベルとなっています。また、乙訓と左京区では水痘が注意報レベルとなっています。

全数報告対象の感染症は、結核が12件、カルバペネム耐性腸内細菌感染症と 風しんがそれぞれ1件、侵襲性肺炎球菌感染症が2件、百日咳が3件報告されました。また、基幹定点の報告として、マイコプラズマ肺炎が1件、流行性角結膜炎が7件報告されました。

今年流行拡大をみせている風疹の患者数が、全国で2032人となり2012-13年以来となりました。1週間当たりの新規患者数は139人と3週連続で減少していますが、大阪府や福岡県では、まだ増加しており注意が必要です。

 

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京都府感染症情報センターからのコメント

(2018年第44週:平成30年10月29日~11月4日)No.336

 

京都小児重症患者診療情報システム管理部 長村敏生

 

感染性胃腸炎の京都府全体での定点当たり報告数は3.14件、その他の感染症は先週から著変ありません。

全数報告対象の感染症は、結核が12件、腸管出血性大腸菌感染症が1件、カルバペネム耐性腸内細菌感染症が3件 、侵襲性インフルエンザ菌感染症・侵襲性肺炎球菌感染症と百日咳がそれぞれ1件 、風しんが2件報告されました。また、基幹定点の報告として、マイコプラズマ肺炎が2件、流行性角結膜炎が8件報告されました。

侵襲性インフルエンザ菌感染症の報告がありました。侵襲性インフルエンザ菌感染症はグラム陰性短桿菌であるインフルエンザ菌が血液や髄液から検出されるものです。インフルエンザ桿菌は幼児と高齢者に多くみられますが、小児では保菌率が高く髄膜炎、敗血症、中耳炎、副鼻腔炎等の原因となることがしられています。我が国では2008年12月にHibワクチンの任意接種がはじまり、2013年4月の予防接種法改正にともない定期接種のひとつとなっています。Hibワクチンが定期接種となってから侵襲性インフルエンザ感染症(主に髄膜炎)は減少傾向にあります。小児だけでなく成人、とくに高齢者でも高リスクの方はワクチン接種を行い重症肺炎の予防を行うことが必要です。

Hibワクチンについて (感染症情報センター)

 

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京都府感染症情報センターからのコメント

(2018年第43週:平成30年10月22日~10月28日)No.335

 

京都小児重症患者診療情報システム管理部 長村敏生

 

感染性胃腸炎の京都府全体での定点当たり報告数は、3.48件と微増、その他の感染症は先週から著変ありません。乙訓では、水痘が定点あたり1.25件とかわらず注意報レベルとなっています。

全数報告対象の感染症は、結核が11件、細菌性赤痢と腸管出血性大腸菌感染症がそれぞれ1件、A型肝炎・重症熱性血小板減少症候群とマラリアがそれぞれ1件、アメーバ赤痢・カルバペネム耐性腸内細菌感染症・水痘(入院例)がそれぞれ1件、百日咳が 3件、風しんが2件報告されました。また、基幹定点の報告として、流行性角結膜炎が12件報告されました。

今週は、細菌性赤痢や腸管出血性大腸菌感染症、A型肝炎、アメーバ赤痢と食中毒の原因となる疾患が多数報告されました。近年は季節を問わずこれらの感染症の報告がされており注意が必要です。食材の管理や調理方法、生食を避けるなど十分注意してください。また他の感染症予防のためにも食事前後、排便後の手洗いを入念に行ってください。

今週も引き続き風疹の報告がありました。繰り返しになりますが抗体確認、ワクチン接種をお願いします。また、重症熱性血小板減少症やマラリアなどダニ、蚊が媒介する疾患も報告されています。発熱や発疹を見た際はこれらの疾患も念頭に置いて対処をお願いします。

 

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京都府感染症情報センターからの情報

京都府感染症情報センターからのコメント

(2018年第42週:平成30年10月15日~10月21日)No.334

 

京都小児重症患者診療情報システム管理部 長村敏生

 

感染性胃腸炎の京都府全体での定点当たり報告数は、2.90件と微増、その他の感染症も先週から減少しています。乙訓で水痘が定点あたり1.25件、京都市下京区で1.00件発生しており注意報レベルとなっています。

全数報告対象の感染症は、結核が15件、レジオネラ症が2件、急性弛緩性麻痺・侵襲性肺炎球菌感染症と風しんがそれぞれ1件、百日咳が3件報告されました。また、基幹定点の報告として、細菌性髄膜炎が1件、マイコプラズマ肺炎が3件、流行性角結膜炎が8件報告されました。

10月23日に国立感染症研究所から「風疹流行に関する緊急情報」が発表されました。2018年の1-41週までの風疹患者累積報告数は1289人となり2013年、2012年に次いで過去3番目に多い報告数となっています。人口100万人あたりの患者報告数は、全国で10.1人となり千葉県の37.6人を筆頭に東京都、神奈川県、茨城県、埼玉県と続いています。首都圏での風疹報告者数が増加する一方で、それ以外の地域からの報告も増加しており、41週時点で報告がない県は6県のみです。報告された風疹患者の症状のうち、発熱、発疹、リンパ節腫脹の3主徴すべてが報告されたのは54%でした。患者の96%が成人で男性は女性の5倍と多く、そのうち63%を30-40代が占めていました。一方女性全体の59%が妊娠出産年齢である20-30代であり、先天性風疹症候群が危惧されます。毎年行われている感染症流行予測調査の2017年度の結果では、妊娠出産年齢の女性の抗体保有率は95%以上と高いですが、妊婦のウイルス感染には注意が必要です。風疹はワクチンで予防可能な感染症です。積極的に検査、接種をお願いします。

 

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京都府感染症情報センターからの情報

京都府感染症情報センターからのコメント

(2018年第41週:平成30年10月8日~10月14日)No.333

 

京都小児重症患者診療情報システム管理部 長村敏生

 

感染性胃腸炎の京都府全体での定点当たり報告数は、2.43件その他の感染症も先週から減少しています。

全数報告対象の感染症は、結核が6件、腸管出血性大腸菌感染症が1件、レジオネラ症が3件、カルバペネム耐性腸内細菌感染症・梅毒と風しんがそれぞれ1件、後天性免疫不全症候群と侵襲性肺炎球菌感染症がそれぞれ3件、百日咳が6件報告されました。また、基幹定点の報告として、マイコプラズマ肺炎が2件、流行性角結膜炎が6件報告されました。

風疹の流行が続いています。全国の感染者数は1100人を超え、2013年以来の大流行となっています。京都府でも10月14日時点で9件の発生がみられました。多くは30代から50代の男性が占めています。ワクチンの2回接種で99%免疫を獲得できますがこの世代では交代保有率が低いことがわかっています。この大流行で先天性風疹症候群の懸念が広がっています。妊娠中の女性が風疹に感染すると、胎児にも感染し難聴や心疾患、白内障などの障害がでる恐れがあります。1万6000人をこえる大流行となった2013年には45人の先天性風疹症候群の患者さんが発生し、11人が亡くなりました。

これまで風疹にかかったことがない方、風しんの予防接種を受けていない方及び、妊娠を希望する女性等は、医療機関で、風しん抗体検査と、必要に応じて風しんワクチンの予防接種をお勧めします。

京都府では妊娠を希望される方を対象に「京都府風しん抗体検査事業」を実施しています。詳しくは、京都府ホームページ「風しん抗体検査の無料実施についてhttp://www.pref.kyoto.jp/kentai/news/fushin.html」をご覧ください。

 

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京都府感染症情報センターからのコメント

(2018年第40週:平成30年10月1日~10月7日)No.332

 

京都小児重症患者診療情報システム管理部 長村敏生

 

感染性胃腸炎の京都府全体での定点当たり報告数は、3.19件と増加、RSウイルス感染症は1.10件と減少しています。その他の感染症は先週までと比べて著変ありません。

全数報告対象の感染症は、結核が8件、腸管出血性大腸菌感染症が2件、デング熱が1件、カルバペネム耐性腸内細菌感染症・急性弛緩性麻痺と風しんがそれぞれ1件、侵襲性肺炎球菌感染症と百日咳がそれぞれ2件。基幹定点の報告として、細菌性髄膜炎が1件、流行性角結膜炎が16件報告されました。

腸管出血性大腸菌感染症が増加しています。第19週から増加しはじめ、第25週には全国で264例が報告されました。第37週までの累積報告数は3002例となり2014年の3226例につぐ報告数となっています。報告が多いのは東京都や埼玉県、神奈川県など首都圏ですが集団発生事例は全国の複数の自治体から報告されています。重篤な合併症である溶血性尿毒症症候群(HUS)は累計52例で女性と低年齢の小児での発症が多いという結果でした。

食肉の十分な加熱処理、食材調理器具の洗浄や手洗いの励行により感染、食中毒予防を行うことが重要です。低年齢の小児や高齢者など抵抗力の弱い方は肉の生食をさけ、十分に加熱してください。大腸菌を死滅させるには中心温度が75℃で1分以上の加熱が必要です。また野菜が原因とされる腸管出血性大腸菌感染症も報告されており十分な洗浄と加熱を行ってください。

 

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京都府感染症情報センターからのコメント

(2018年第39週:平成30年9月24日~9月30日)No.331

 

京都小児重症患者診療情報システム管理部 長村敏生

 

感染性胃腸炎の京都府全体での定点当たり報告数は、2.58件、RSウイルス感染症は1.44件と減少しています。その他の感染症は先週までと比べて著変ありません。

全数報告対象の感染症は、結核が4件、A型肝炎が1件、カルバペネム耐性腸内細菌感染症と風しんがそれぞれ1件、百日咳が3件報告されました。また、基幹定点の報告として、細菌性髄膜炎が1件、流行性角結膜炎が13件報告されました。

風疹の報告が続いています。今週も1週間で新たに104人の新規風疹患者が報告され、今年の累積患者が770人になりました。1週間あたりの患者数は3週連続100人を超えています。東京都、千葉県、神奈川県などの首都圏での報告は依然多いですが、大阪でも13件の報告があり、京都府でも患者がみられています。他の呼吸器感染症が増加する時期でもあり、皮疹などがでていない段階では風疹と気づかないこともあります。妊婦に感染することによって引き起こされる先天性風疹症候群は命にかかわる疾患です。

ワクチンを接種したか記憶にない方は抗体価の確認をおすすめします。過去に感染したと思っている方も検査で確認することを検討してください。

 

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京都府感染症情報センターからのコメント

(2018年第38週:平成30年9月17日~9月23日)No.330

 

京都小児重症患者診療情報システム管理部 長村敏生

 

感染性胃腸炎の京都府全体での定点当たり報告数は、2.96件、RSウイルス感染症は2.03件とやや減少しています。その他の感染症は先週までと比べて著変ありません。

全数報告対象の感染症は、結核が5件、腸管出血性大腸菌感染症が2件、レジオネラ症が3件、ウイルス性肝炎・カルバペネム耐性腸内細菌感染症・侵襲性肺炎球菌感染症と水痘(入院例)がそれぞれ1件、後天性免疫不全症候群・百日咳がそれぞれ2件報告されました。また、基幹定点の報告として、流行性角結膜炎が13件報告されました。

風疹の報告が続いています。国立感染症研究所は9月16日までの1週間で127人の新規風疹患者が報告され、今年の累積患者が642人になったと発表しました。すでに昨年1年間の6.9倍となっています。東京都、千葉県、神奈川県などの首都圏での報告が多いですが、愛知県や静岡県など関東地方以外でも報告がされています。風疹感染初期はかぜなどの症状に似ており、気づかないまま感染を広げてしまうことがあります。

風疹は予防可能な疾患ですので、ワクチン接種をされていない方はぜひ検討してください。

 

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