京都府感染症情報センターからの情報

京都府感染症情報センターからのコメント(2017年第51週:12月18~24日) No.291

京都小児重症患者診療情報システム管理部 長村敏生

 

今週はインフルエンザの定点報告数が感染性胃腸炎を超え、最多となりました。インフルエンザは定点当たり9.01件と急増し、乙訓では15.14件、山城北で15.94件、山城南で13.40件と注意報レベルとなっています。また、京都市内でも山科区で13.29件、南区で15.40件、伏見区で12.27件と注意報レベルとなっています。

感染性胃腸炎は定点あたり6.92件とやや減少しましたが、京都市左京区で定点当たり19.50件と先週に続き警報レベルとなっています。A群溶血レンサ球菌咽頭炎、手足口病、RSウイルス感染症、流行性耳下腺炎、ヘルパンギーナの発生数は大きく変化はありません。

全数報告対象の感染症は、結核が14件、レプトスピラ症 が 1件、カルバベネム耐性腸内細菌感染症と後天性免疫不全症候群がそれぞれ1件、侵襲性肺炎球菌感染症が2件報告されました。また、基幹定点からマイコプラズマ肺炎が3件、眼科定点から流行性角結膜炎が 9件 報告されました。

インフルエンザウイルスに対して、全国の地方衛生研究所と国立感染症研究所ではオセルタミビル(タミフル)、ザナミビル(リレンザ)、ペラミビル(ラピアクタ)、ラニナビル(イナビル)に対する薬剤耐性サーベイランスを実施しています。2017/2018シーズンに分離、検出されたインフルエンザ株における耐性はA(H1N1)型においてオセルタミビル、ペラミビルが1.5%検出されたのみでした。実臨床においてはほとんど影響がないレベルと考えられます。インフルエンザが疑われる症状が出た際はすぐに医療機関で検査を行い、適切な治療をうけてください。

京都府感染症情報センターホームページのアドレス

http://www.pref.kyoto.jp/idsc/

京都府感染症情報センターからの情報

京都府感染症情報センターからのコメント(2017年第50週:12月11~17日) No.290

京都小児重症患者診療情報システム管理部 長村敏生

 

今週も、感染性胃腸炎とインフルエンザの報告数が増加しています。

感染性胃腸炎は定点あたり8.62件となり、京都市左京区では定点当たり36.75件と先週からさらに増加して警報レベルとなっています。インフルエンザは定点当たり4.97件と増加し、乙訓では17.29件と注意報レベルとなっています。

A群溶血レンサ球菌咽頭炎、手足口病、RSウイルス感染症、流行性耳下腺炎、ヘルパンギーナの発生数は大きく変化はありません。

全数報告対象の感染症は結核が10件、急性脳炎・侵襲性肺炎球菌感染症がそれぞれ1件 報告されました。また、基幹定点からマイコプラズマ肺炎が2件、眼科定点から流行性角結膜炎が7件報告されました。

今週、府内ではじめてインフルエンザが注意報レベルに達する地域がでました。例年1月に警報レベルとなることが多く、今後感染の拡大が予想されます。

今週、学級閉鎖が乙訓、山城北、南丹で15件出ています。人混みへの外出の機会が増える時期かと思いますので、引き続き、手洗い・マスク等の予防行動を励行してください。高齢者が感染すると重症化する危険がありますので、訪問などされる際は症状がないか確認し、疑わしい場合は自粛しましょう。

 

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京都府感染症情報センターからの情報

京都府感染症情報センターからのコメント(2017年第49週:12月4~10日) No.289

京都小児重症患者診療情報システム管理部 長村敏生

 

感染性胃腸炎は今週も引き続き増加し、定点あたり7.59件となっています。京都市左京区では定点当たり34.25件と先週に続き警報レベルとなっています。

インフルエンザの報告が定点あたり2.02件となり、流行期になりました。流行期に入る時期は例年とほぼ変わりません。地域別では乙訓の5.71件を筆頭に中丹東を除く全地域で流行レベルを超えています。

今週から京都府においてもインフルエンザの流行期に入り、今後ますます発生数の増加が予想されます。感染の広がりを防ぐため、外出後は手洗い、うがいを行いましょう。外出時はマスクを着用し、室内では加湿器を用いるなどして適切な湿度を保ってください。

全数報告対象の感染症は結核が19件、アメーバ赤痢が1件報告されました。また、眼科定点から流行性角結膜炎が10件報告されました。

A群溶血性レンサ球菌咽頭炎、手足口病、RSウイルス感染症、流行性耳下腺炎、ヘルパンギーナの発生数は大きく変化はありません。

気温の低下にともない呼吸器疾患、感染性胃腸炎ともにリスクが増加しますので、過労や睡眠不足をさけて十分な休養をとるように心がけてください。

 

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京都府感染症情報センターからの情報

京都府感染症情報センターからのコメント

(2017年第48週:11月27日~12月3日) No.288

京都小児重症患者診療情報システム管理部 長村敏生

 

感染性胃腸炎は定点あたり6.51件と今週も増加しています。京都市左京区では定点当たり20.00件と警報レベルとなっています。A群溶血レンサ球菌咽頭炎、手足口病、RSウイルス感染症、流行性耳下腺炎、ヘルパンギーナの発生数は大きく変化はありません。

インフルエンザの報告が定点あたり0.96件ありました。まだ流行レベルには至りませんが、全国各地、京都市では既に流行の指標となる定点あたり1件を超えています。全国的にインフルエンザの流行期に入っています。最大の予防は手洗いなどを日々徹底することです。自分の身を守るとともに、せきやくしゃみがでるときはマスクをして咳エチケットに留意しましょう。

全数報告対象の感染症は結核が25件、レジオネラ症が1件、カルバペネム耐性腸内細菌感染症・侵襲性肺炎球菌感染症とバンコマイシン耐性腸球菌感染症がそれぞれ1件報告されました。また、基幹定点からマイコプラズマ肺炎が1件、眼科定点から流行性角結膜炎が6件報告されました。

 

 

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京都府感染症情報センターからの情報

京都府感染症情報センターからのコメント(2017年第47週:11月20~26日) No.287

 

京都小児重症患者診療情報システム管理部 長村敏生

 

感染性胃腸炎は定点あたり4.65件で、3週連続で増加しています。A群溶血性レンサ球菌咽頭炎、手足口病、RSウイルス感染症、流行性耳下腺炎、ヘルパンギーナの発生数は大きく変化はありません。

全数報告対象の感染症は、結核が5件、レジオネラ症が1件、侵襲性肺炎球菌感染症が2件報告されました。また、眼科定点から流行性角結膜炎が4件報告されました。

感染性胃腸炎の報告数が徐々に増えてきています。警報レベルには達していませんが、例年12月に入ってから報告数が増加しますので、これからの季節はさらに注意が必要です。 気温や室温が低くなりますが、非加熱の食品をとることは避け、保存は冷蔵庫で行ってください。

また、ノロウイルスの増加も危惧されますので、手洗いで予防し、特に乳幼児の排泄物の処理は適切に行ってください。

 

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京都府感染症情報センターからの情報

京都府感染症情報センターからのコメント(2017年第46週:11月13~19日) No.286

 

京都小児重症患者診療情報システム管理部 長村敏生

 

感染性胃腸炎は定点あたり4.25件と先週からさらに増加しています。A群溶血性レンサ球菌咽頭炎、手足口病、RSウイルス感染症、流行性耳下腺炎、ヘルパンギーナの発生数は大きく変化はありません。中丹西で急性出血性結膜炎の報告があり、警報レベルとなっています。

全数報告対象の感染症は結核が7件、侵襲性インフルエンザ菌感染症が1件、侵襲性肺炎球菌感染症が4件報告されました。また、基幹定点から無菌性髄膜炎とマイコプラズマ肺炎が1件、眼科定点から急性出血性結膜炎が1件、流行性角結膜炎が7件報告されました。

今週報告のあった侵襲性インフルエンザ菌感染症はグラム陰性短桿菌であるインフルエンザ菌が血液や髄液から検出されるものです。インフルエンザ菌は幼児と高齢者に多くみられますが、小児では保菌率が高く、髄膜炎、敗血症、中耳炎、副鼻腔炎等の原因となることが知られています。

我が国では2008年12月にHibワクチンの任意接種がはじまり、2013年4月の予防接種法改正にともない定期接種のひとつとなっています。Hibワクチンが定期接種となってから侵襲性インフルエンザ感染症(主に髄膜炎)は減少傾向にあります。

小児だけでなく成人、とくに高齢者でも高リスクの方はワクチン接種を行い、重症肺炎の予防を行うことが必要です。

 

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京都府感染症情報センターからの情報

京都府感染症情報センターからのコメント(2017年第43週:10月23~29日) No.283

京都小児重症患者診療情報システム管理部 長村敏生

 

感染性胃腸炎は定点あたり3.64件と今週も先週からやや増加しています。手足口病は定点当たり1.56件と横ばいで推移しています。

RSウイルス感染症、流行性耳下腺炎、A群溶血レンサ球菌咽頭炎、ヘルパンギーナの発生数は大きく変化はありません。

全数報告対象の感染症は結核が13件、オウム病が1件報告されました。カルバベネム耐性腸内細菌感染症と急性脳炎がそれぞれ1件報告されました。

また、基幹定点からマイコプラズマ肺炎とロタウイルスによる感染性胃腸炎が1件、眼科定点から流行性角結膜炎が4件報告されました。

オウム病はオウム病クラミジア(Chlamydia psittaci)による人獣共通感染症です。感染様式としては病鳥の排泄物からの吸入が主体ですが、餌の口移しや、噛まれて感染することもまれにあるといわれています。鳥は保菌していても異常を示さないことが多いので注意が必要です。

オウム病の潜伏期間は1~2週間で、急激な高熱と咳嗽で発症します。軽症の気道感染症でおさまることもありますが、肺炎や髄膜炎を引き起こすこともあります。非定型肺炎ではマイコプラズマ肺炎や肺炎クラミジア肺炎とともに鑑別が必要です。確定診断にはペア血清の評価が必要となりますが、鳥との接触歴の確認が重要です。テトラサイクリン系、マクロライド系、ニューキノロン系の抗生物質で治療を行います。

妊婦では免疫力が低下しており感染の危険が高まりますので、ペットの鳥や公園の鳩などとの接触には気をつけてください。ペットで鳥を飼っている方は濃厚接触を避け、鳥が弱っている時や排菌が疑われる場合には、獣医の診察を受けさせましょう。

 

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京都府感染症情報センターからの情報

京都府感染症情報センターからのコメント(2017年第42週:10月16~22日) No.282

京都小児重症患者診療情報システム管理部 長村敏生

 

感染性胃腸炎は定点あたり3.45件と先週からやや増加しています。京都市左京区の警報は解除されました。RSウイルス感染症は1.03件とやや低下し、手足口病が定点当たり1.64件と増加しています。流行性耳下腺炎、A群溶血レンサ球菌咽頭炎、ヘルパンギーナの発生数は大きく変化はありません。

全数報告対象の感染症は、結核が15件、レジオネラ症が 2件報告されました。また、基幹定点から流行性角結膜炎が 1件 報告されました。

今年は、RSウイルス感染症や手足口病など本来の流行期以外の時期での流行が見られています。明らかな原因は不明ですが、通年にわたっての感染予防が重要となってきます。トイレ等の後の手洗いや外出後のうがいを行い、汚染された食物の摂取(特に生食)を避けるようにしてください。多くの疾患で特異的な治療法はなく、対処療法が中心となります。高熱が続く場合や意識障害、呼吸困難、血便など様子がおかしいと感じたらすぐに医療機関を受診してください。

これからの季節はRSウイルス感染症、マイコプラズマ肺炎、インフルエンザなどの流行が懸念されます。今の時期から手洗い、うがい、マスク等の予防策をしっかりとるようにしましょう。

 

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京都府感染症情報センターからのコメント(2017年第41週:10月9日~15日) No.281

京都小児重症患者診療情報システム管理部 長村敏生

 

感染性胃腸炎は定点あたり2.82件と先週から減少していますが、京都市左京区では定点あたり17.5件と警報レベルが持続しています。

RSウイルス感染症は1.29件とやや低下、手足口病、流行性耳下腺炎、A群溶血レンサ球菌咽頭炎、ヘルパンギーナの発生数に大きな変化はありません。

全数報告対象の感染症は、結核が17件、腸管出血性大腸菌感染症が1件、E型肝炎が1件、レジオネラ症が1件、カルバペネム耐性腸内細菌感染症・侵襲性肺炎球菌感染症と梅毒がそれぞれ1件報告されました。また、眼科定点から流行性角結膜炎が5件報告されました。

E型肝炎は経口感染をおこす肝炎ウイルスです。A型肝炎も同様に経口感染しますが、致死率はE型肝炎が約10倍高く、特に妊婦が感染するとそのリスクは高まります。日本人のE型肝炎ウイルスに対する抗体保有者は約5%とされ、特に若年者はほとんどもっていません。

潜伏期間は約6週間程度あり、その後急性肝炎を起こします。E型肝炎の特徴の一つとして、妊婦で劇症肝炎の割合が高く、致死率が20%にも達することがあるので特に注意が必要です。

日本での感染の原因はジビエ(フランス語:狩猟によって食材として捕獲された野生の鳥獣の狩猟肉で、畜産との対比として使われることが多い)料理などの摂取がほとんどです。豚、シカ、イノシシなどの野生動物は生食をせず、中心部まで火が通ったものを食べるようにしてください。

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京都府感染症情報センターからの情報

京都府感染症情報センターからのコメント(2017年第39週:9月25日~10月1日) No.279

京都小児重症患者診療情報システム管理部 長村敏生

 

今週は府内で警報レベルの疾患はありません。

感染性胃腸炎が定点あたり3.34件、RSウイルス感染症が2.00件とともに先週からやや増加しています。

手足口病、流行性耳下腺炎、A群溶血レンサ球菌咽頭炎、ヘルパンギーナの発生数は大きく変化はありません。

全数報告対象の感染症は結核が12件、腸管出血性大腸菌感染症が1件、レプトスピラ症が1件、レジオネラ症が1件 、カルバペネム耐性腸内細菌感染症が1件、梅毒が3件報告されました。また、眼科定点から流行性角結膜炎が6件報告されました。

ワイル病の名前で知られるレプトスピラ症はスピロヘータという細菌の感染症の一種です。ドブネズミなどの保菌動物の尿に汚染された水や土壌から経皮的、経口的に感染します。近年でも沖縄県などで散発的な発生がみられ、特に河川など水辺のレジャーに従事する人の間での感染が増加しています。また、海外では中南米や東南アジアの熱帯、亜熱帯の国々で流行がみられており、輸入感染症としても注意が必要です。

感染すると5~14日間の潜伏期を経て、発熱、悪寒、頭痛、筋痛、腹痛、結膜充血などが生じ、第4~6病日に黄疸や出血傾向がみられます。水辺での活動歴があり、発熱、肝機能異常、腎機能異常を認めた場合はレプトスピラ症を疑い適切な治療を行ってください。

 

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