京都府感染症情報センターからの情報

京都府感染症情報センターからのコメント(2017年第35週:8月28~9月3日) No.275

京都小児重症患者診療情報システム管理部 長村敏生

 

感染性胃腸炎は定点あたり2.92件と先週から減少しています。RSウイルス感染症は定点あたり1.87件と増加しています。手足口病は定点あたり1.16件とさらに低下していますが、京都市伏見区のみ警報レベルが続いています。流行性耳下腺炎、A群溶血レンサ球菌咽頭炎、流行性角結膜炎の発生数は大きく変化はありません。

全数報告対象の感染症は結核が8件、腸管出血性大腸菌感染症が1件、重症熱性血小板減少症候群(SFTS)が1件、後天性免疫不全症候群が1件、梅毒が1件報告されました。また、基幹定点からマイコプラズマ肺炎が2件、眼科定点から流行性角結膜炎が10件報告されました。

今週、重症熱性血小板減少症候群(SFTS)の報告がありました。ダニ媒介感染症の一種であるこの疾患の報告が続いています。感染症発生動向調査において7月26日から8月30日までの報告数は18例でした。例年5月から8月までの報告が多いですが、昨年は10月にも報告が多くあり、今後も西日本を中心に注意が必要です。

SFTSウイルス(SFTSV)に感染すると6日~2週間の潜伏期を経て、発熱、消化器症状(食欲低下、嘔気、嘔吐、下痢、腹痛)が多くの症例で認められ、その他に頭痛、筋肉痛、意識障害や失語などの神経症状、リンパ節腫脹、皮下出血や下血などの出血症状などを起こします。致死率は6.3-30%と報告されています。

感染予防のため、森林地帯等に入る場合はマダニに咬まれないようにすることが重要です。長袖・長ズボンを着用し、靴は足を完全に覆うものがよく、サンダルのような露出が多いものは避ける方がよいでしょう。屋外で活動した後は、すぐに入浴してマダニに咬まれていないかを確認しましょう。もしマダニに咬まれた場合は無理に引き抜こうとせず、皮膚科などの医療機関を受診しましょう。

京都府感染症情報センターホームページのアドレス

http://www.pref.kyoto.jp/idsc/

京都府感染症情報センターからの情報

京都府感染症情報センターからのコメント(2017年第33週:8月21~27日) No.274

京都小児重症患者診療情報システム管理部 長村敏生

 

感染性胃腸炎は定点あたり3.38件と先週からさらに増加しています。一方、手足口病は定点あたり1.59件であり、京都市伏見区のみ警報レベルが続いています。流行性耳下腺炎、A群溶血レンサ球菌咽頭炎、流行性角結膜炎、RSウイルス感染症の発生数は大きく変化はありません。

全数報告対象の感染症は、結核が8件、腸管出血性大腸菌感染症が 3件、アメーバ赤痢が1件。また、眼科定点から流行性角結膜炎が11件 報告されました。

 

京都府感染症情報センターホームページのアドレス

http://www.pref.kyoto.jp/idsc/

京都府感染症情報センターからの情報

京都府感染症情報センターからのコメント(2017年第33週:8月14~20日) No.273

京都小児重症患者診療情報システム管理部 長村敏生

 

感染性胃腸炎は定点あたり2.15件とやや増加しています。手足口病は定点あたり0.92件とさらに低下しています。南丹と京都市伏見区のみ警報レベルが続いていますので感染予防に留意してください。

流行性耳下腺炎、A群溶血レンサ球菌咽頭炎、流行性角結膜炎、RSウイルス感染症の発生数は大きく変化はありません。全数報告対象の感染症は、結核が9件、腸管出血性大腸菌感染症が4件、デング熱が1件、レジオネラ症が2件、侵襲性肺炎球菌感染症が2件、梅毒が1件報告されました。また、眼科定点から急性出血性結膜炎が2件、流行性角結膜炎が9件 報告されました。

腸管出血性大腸菌感染症の報告が相次いでいます。腸管出血性大腸菌感染症はO157 をはじめとするべロ毒素産生性の腸管出血性大腸菌(Enterohemorrhagic E. coli,EHEC)で汚染された食物などを経口摂取することによっておこる腸管感染が主体です。無症状から致死的なものまで様々な臨床症状が知られています。特に、腸管出血性大腸菌感染に引き続いて発症することがある溶血性尿毒症症候群(HUS) は、死亡あるいは腎機能や神経学的障害などの後遺症を残す可能性があります。0157が生息するのは主に家畜の腸内ですが、処理の際に肉の表面に付着することがあります。さらに肉だけでなく流通の過程で野菜などにも広がることがあります。食中毒の発生が増加するこの季節は特に注意が必要です。食品は十分加熱し、調理後の食品はなるべく食べ切るようにしてください。加熱せずに食べる場合はすぐに冷蔵庫に入れ、菌の増殖を防いでください。

 

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京都府感染症情報センターからの情報

京都府感染症情報センターからのコメント(2017年第32週:8月7~8月13日) No.272

京都小児重症患者診療情報システム管理部 長村敏生

 

手足口病の流行はピークを越え、定点当たり1.81件と低下しています。南丹や山城北、乙訓など警報レベルが続いている地域では引き続き感染予防に留意してください。

感染性胃腸炎は定点あたり1.96件と減少していますが、RSウイルス感染症の発生数はやや増加し、定点あたり0.84件となっています。

流行性耳下腺炎、A群溶血性レンサ球菌咽頭炎、咽頭結膜熱(プール熱)、ヘルパンギーナも低下しています。全数報告対象の感染症は、結核が3件、侵襲性肺炎球菌感染症が2件報告されました。また、基幹定点からマイコプラズマ肺炎が1件、眼科定点から流行性角結膜炎が7件報告されました。

京都市でも増加傾向にありますが、全国的にRSウイルス感染症の報告が増加しています。通常冬に流行するRSウイルス感染症ですが、年々流行の始まりが早くなる傾向にあります。国立感染症研究所の調べによると小児科定点からの第31週の定点報告数が全国で4,934人と、昨年同時期の1,082人の約5倍に達しています。

RSウイルス感染症は多くの場合に発熱や鼻水などの軽症ですみますが、乳児や基礎疾患を持っている方は重症化する恐れがあります。大人でも何度も感染することがありますので、接触・飛沫感染にご留意頂き、手洗いとうがいをしっかり行ってください。

 

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京都府感染症情報センターからの情報

京都府感染症情報センターからのコメント(2017年第31週:7月31~8月6日) No.271

京都小児重症患者診療情報システム管理部 長村敏生

 

手足口病は先週からさらに低下し、定点当たり3.47件となっています。中丹西と丹後を除く地域で警報レベルが続いていますので、引き続き感染拡大に留意してください。京都市内でも北区、上京区、下京区、東山区以外のすべての区で警報レベルとなっています。

感染性胃腸炎は定点あたり3.55件と微増、流行性耳下腺炎、A群溶血性レンサ球菌咽頭炎、咽頭結膜熱(プール熱)、ヘルパンギーナ、RSウイルス感染症の発生数は特に変化はありません。

全数報告対象の感染症は結核が8件、デング熱とマラリアがそれぞれ1件、クロイツフェルト・ヤコブ病が1件 、梅毒が4件報告されました。また、基幹定点からマイコプラズマ肺炎が2件、眼科定点から流行性角結膜炎が7件報告されました。

国立感染症研究所の調べによると、今年の麻疹の患者数が168人となり、既に昨年を超える人数となっています。日本は「麻疹排除国」に指定されており、これらの患者さんは海外で感染した後に、国内で診断されたものがほとんどと考えられています。現在、ヨーロッパ中国インドでは麻疹が流行しています。以前にワクチン接種をした方でも抗体値が低下していると感染のおそれがあります。

麻疹の潜伏期間は10-12日とされており、帰国後に国内で感染を広げてしまうこともありますので、渡航後に発熱や発疹などの症状が出た際はすぐに医療機関を受診してください。

 

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京都府感染症情報センターからの情報

京都府感染症情報センターからのコメント(2017年第30週:7月24~30日) No.270

京都小児重症患者診療情報システム管理部 長村敏生

 

手足口病は先週からさらに低下し、定点当たり4.66件とやや減少しています。しかし、中丹西と丹後を除く地域で警報レベルが続いていますので、引き続き感染拡大に留意してください。京都市内でも北区、上京区、下京区、東山区以外のすべての区で警報レベルとなっています。また、全国では定点当たり9.82件と依然大流行しています。西日本からはじまった流行は、東日本から北海道まで広がり各地で猛威をふるっています。国立感染症研究所のまとめでは、今年の累積患者数が12万5000人を超え、大流行となった2015年に次ぐ勢いとなっています。今がピークの時期です。手洗いを流水と石けんでしっかりするほか、おもちゃやタオルの共用は避けましょう。

感染性胃腸炎は定点あたり3.96件と微増しています。流行性耳下腺炎、A群溶血性レンサ球菌咽頭炎、咽頭結膜熱(プール熱)、ヘルパンギーナの発生数は特に変化はありません。

全数報告対象の感染症は、結核が7件、腸管出血性大腸菌感染症が1件、急性脳炎と梅毒がそれぞれ2件、侵襲性肺炎球菌感染症が1件報告されました。

また、基幹定点から感染性胃腸炎(ロタウイルス) が1件、眼科定点から急性出血性結膜炎が1件、流行性角結膜炎が12件報告されました。

 

 

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京都府感染症情報センターからの情報

京都府感染症情報センターからのコメント(2017年第29週:7月17~23日) No.269

京都小児重症患者診療情報システム管理部 長村敏生

 

手足口病は先週の6.71件から5.48件とやや減少しています。しかし、中丹西と丹後を除く地域で警報レベルが続いていますので、引き続き感染拡大に注意してください。京都市内でも北区、上京区、下京区、東山区以外のすべての区で警報レベルとなっています。

感染性胃腸炎は定点あたり3.88件と引き続き減少しています。流行性耳下腺炎、A群溶血性レンサ球菌咽頭炎、咽頭結膜熱(プール熱)、ヘルパンギーナの発生数は特に変化はありません。

全数報告対象の感染症は腸管出血性大腸菌感染症が2件、アメーバ赤痢が 2件、クロイツフェルト・ヤコブ病・後天性免疫不全症候群と梅毒がそれぞれ1件 報告されました。また、基幹定点からマイコプラズマ肺炎が1件、眼科定点から流行性角結膜炎が10件報告されています。

先週に引き続き、マダニ感染症の報告がありました。重症熱性血小板減少症候群(SFTS)はダニ媒介感染症の中で、ツツガムシ病、日本紅斑熱に次いで患者数の多い疾患です。SFTSの原因となるウイルスを媒介する種類のマダニが多く生息する西日本で主に報告されています。ウイルスに感染すると、6日~2週間の潜伏期を経て、発熱、消化器症状(食欲低下、嘔気、嘔吐、下痢、腹痛)が現れ、その他頭痛、筋肉痛、意識障害や失語などの神経症状、リンパ節腫脹、皮下出血や下血などの出血症状などを起こします。致死率は6.3-30%と報告されています。マダニに咬まれることによる感染のほか、感染患者の体液を介して感染することが知られています。感染予防のため、マダニに刺されないようにすることが重要です。また、マダニが付着している可能性がある野生動物との接触にも注意してください。

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京都府感染症情報センターからの情報

京都府感染症情報センターからのコメント(2017年第28週:7月10~16日) No.268

京都小児重症患者診療情報システム管理部 長村敏生

 

今週も引き続き、手足口病が流行しています。定点あたりの報告数は先週の6.46件から6.71件と増加しています。全国的にも定点あたり8.27件とさらに増加しています。中丹東、乙訓、南丹、山城北に加え今週は山城南でも定点あたり5.00件となり、警報レベルとなっています。京都市内でも北区、西京区、上京区、下京区以外のすべての区で警報レベルとなっています。

ヘルパンギーナの報告数が1.22件と微増しています。感染性胃腸炎、A群溶血レンサ球菌咽頭炎、咽頭結膜熱(プール熱)の発生数は特に変化はありません。

全数報告対象の感染症は結核が3件、アメーバ赤痢が 2件 報告されました。

また、基幹定点からマイコプラズマ肺炎とロタウイルスによる感染性胃腸炎がそれぞれ1件、流行性角結膜炎が9件報告されています。

北海道でダニ媒介脳炎の報告がありました。平成28年に同じく北海道で23年ぶりに2例目の報告があって以来、国内3例目となりました。ダニの一種であるマダニはライム病、回帰熱、日本紅斑熱以外に、重症化すると生命にかかわるダニ媒介脳炎や重症熱性血小板減少症候群(SFTS)など様々な疾患を媒介します。これらは原因となるウイルスはそれぞれ異なりますが、マダニに咬まれることでヒトに感染する点は共通するためダニ媒介感染症として扱われています。

感染予防のため、森林地帯等に入る場合はダニに刺されないように注意することが重要です。長袖・長ズボンを着用し、靴は足を完全に覆うものがよく、サンダルのような露出が多いものは避ける方がよいでしょう。屋外で活動したあとはすぐに入浴し、マダニに咬まれていないかを確認しましょう。もしマダニに咬まれた場合は、無理に引き抜こうとせず、皮膚科などの医療機関を受診しましょう。

下記のポスターも参考にしてください。

http://www.mhlw.go.jp/file.jsp?id=459028&name=file/06-Seisakujouhou-10900000-Kenkoukyoku/web_pos_1.pdf

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京都府感染症情報センターからの情報

京都府感染症情報センターからのコメント(2017年第27週:7月3~9日) No.267

京都小児重症患者診療情報システム管理部 長村敏生

 

今週は手足口病が最も報告数が多い感染症となりました。定点あたり6.46件と先週から大きく増加しています。医療圏別にみると中丹東の10.60件、乙訓の9.25件をはじめ、南丹、山城北で警報レベルとなっています。京都市内でも伏見区の12.29件、右京区の11.60件、左京区の10.00件をはじめ南区でも警報レベルとなっています。これまでも、手足口病の流行について注意喚起してきましたが、全国的に流行が続いています。京都府でも大流行した2015年に匹敵する流行が予測されます。

感染性胃腸炎、流行性耳下腺炎、A群溶血レンサ球菌咽頭炎、咽頭結膜熱(プール熱)の発生数は特に変化はありません。

全数報告対象の感染症は結核が5件、レジオネラ症が2件、カルバペネム耐性腸内細菌感染症が 1件、梅毒が2件 報告されました。また、眼科定点からは流行性角結膜炎が7件報告されています。

手足口病は基本的な症状は軽度の発熱と水疱性の発疹のみで、経過良好な疾患です。しかし、まれに重症化すると髄膜炎や脳炎を合併することがあります。高熱が2日以上続いたり、頭痛、嘔吐、呼びかけに答えずにぐったりしているといった様子がみられた場合はすぐに医療機関を受診してください。

流行拡大を防ぐため、手洗いを十分行い、排泄物の処理は適切に行ってください。タオルの共用はやめましょう。

 

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京都府感染症情報センターからの情報

京都府感染症情報センターからのコメント(2017年第25週:6月26~7月2日)

No.266        京都小児重症患者診療情報システム管理部 長村敏生

 

感染性胃腸炎は定点当たり6.04件と先週と比べてやや減少しています。流行性耳下腺炎、A群溶血レンサ球菌咽頭炎、咽頭結膜熱(プール熱)の発生数は特に変化はありません。

手足口病は定点あたり4.79件、京都市では4.48件と増加しています。乙訓で8.50件、山城北で6.70件、中丹東で9.00件と他の地域でも報告が増加しており警戒が必要です。京都市内の南区、伏見区、左京区、右京区でも警報レベルが継続しています。

全数報告対象の感染症は結核が8件、レジオネラ症が1件、腸管出血性大腸菌が1件と梅毒が 2件報告されました。また、基幹定点からロタウイルスによる感染性胃腸炎とマイコプラズマ肺炎が1件、眼科定点から急性出血性結膜炎が1件と流行性角結膜炎が8件報告されています。

腸管出血性大腸菌感染症は例年夏期を中心に発生しますが、5月頃から10月頃までが流行期とされています。腸管出血性大腸菌は汚染された水や食品(生肉、野菜など)などを介して経口感染し、またわずか50ほどの菌で感染しうるため、患者や保菌者の便からの二次感染にも注意が必要です。

感染者の内の6~7%の頻度で合併症として溶血性尿毒症症候群(HUS)や急性脳症を併発し、致死率は1~5%に上ります。高温、高湿度になるこの時期は食中毒の危険が高まるため食物管理にも注意してください。

京都府感染症情報センターホームページのアドレスhttp://www.pref.kyoto.jp/idsc/