京都府感染症情報センターからのコメント
(2021年第44週:令和3年11月1日~令和3年11月7日)No.489
京都小児重症患者診療情報システム管理部 長村敏生
令和3年第44週の報告です。手足口病は定点あたり3.01件とさらに増加しています。その他の感染症の報告数に大きな変化はありません。手足口病は京都市南区、伏見区と乙訓で警報レベルとなっています。全数報告対象の感染症は、結核が11件、レジオネラ症が1件、後天性免疫不全症と梅毒がそれぞれ1件 報告されました。また、基幹定点の報告はありません。眼科定点の報告もありません。
レジオネラ症の原因となるレジオネラ菌は水中や土の中に存在し、給湯設備や空調の冷却塔、加湿器のなかで増殖します。レジオネラ菌に汚染された細かい水滴(エアロゾル)を吸い込むことで感染しますが、全員が発症するわけではありません。日本では、循環式浴槽における感染事例が多くを占めており、公衆浴場などでの設備の衛生管理や構造設備上の措置を十分行う必要があります(*)。また、高齢者や糖尿病の患者など抵抗力の弱い人が感染しやすく、死亡率が高いとされています。現在は尿による迅速診断キットによって簡便に診断できます。レジオネラ菌は、一般細菌の増殖後にそれらを捕食するため増えたアメーバの中で増殖します。36℃前後で最も繁殖しますが、高温や塩素消毒で死滅します。予防のためには、感染源となる給湯設備、冷却塔、浴場、加湿器などを清潔に保つことが重要です。20℃以下の低温もしくは45℃以上の高温にすることが効果的です。治療にはニューキノロンやマクロライド系の抗菌薬が著効します。
*循環式浴槽におけるレジオネラ症防止対策マニュアル(令和元年12月17日改正):https://www.jvnf.or.jp/newinfo/2019/191220tsuchi-2.pdf
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