京都府感染症情報センターからの情報

京都府感染症情報センターからのコメント

(2019年第36週:令和元年9月2日~令和元年9月8日)No.378

 

京都小児重症患者診療情報システム管理部 長村敏生

 

感染性胃腸炎は、定点あたり2.71件報告されています。RSウイルス感染症、手足口病もやや増加しています。伝染性紅斑は、山城北、京都市左京区、右京区、伏見区で警報レベルとなっています。手足口病は、乙訓で定点あたり6.75件と警報レベルとなっています。その他の感染症に大きな変化はありません。全数報告対象の感染症は、結核と腸管出血性大腸菌感染症が4件、レジオネラ症が1件、カルバペネム耐性腸内細菌感染症が3件が1件報告されました。また、基幹定点からマイコプラズマ肺炎が2件、眼科定点から流行性角結膜炎が11件報告されました。

レジオネラ症の原因となるレジオネラ菌は、水中や土の中に存在し、給湯設備や空調の冷却塔、加湿器のなかで増殖します。レジオネラ菌に汚染された目に見えないほど細かい水滴(エアロゾル)を吸い込むことで感染しますが、全員が発症するわけではありません。ヒト-ヒト感染はせず、日本では循環式浴槽における感染事例が多くを占めています。また、高齢者や糖尿病の患者など抵抗力の弱い人が感染しやすく、死亡率が高くなることが知られています。現在は、尿による迅速診断キットによって簡便に診断することができます。レジオネラ菌は、一般細菌の増殖の後にそれらを捕食するため増えたアメーバの中で増殖することが知られています。36℃前後で最も繁殖しますが、高温や塩素消毒で死滅します。したがって予防のためには、感染源となる給湯設備、冷却塔、浴場、加湿器などを清潔に保つことが重要で、さらに、20℃以下の低温もしくは45℃以上の高温にすることが効果的です。治療には、ニューキノロンやマクロライド系の抗菌薬が著効します。

 

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