京都府感染症情報センターからの情報

京都府感染症情報センターからのコメント

(2019年第43週:令和元年10月21日~令和元年10月27日)No.385

 

京都小児重症患者診療情報システム管理部 長村敏生

 

感染性胃腸炎は、定点あたり1.99件とさらに減少しています。伝染性紅斑は、京都市南区で警報レベルとなっています。水痘が京都市山科区、伏見区で注意報レベルとなっています。全数報告対象の感染症は、結核が9件、レジオネラ症が2件、カルバペネム耐性腸内細菌科細菌(CRE)感染症、侵襲性肺炎球菌感染症がそれぞれ1件、百日咳が5件報告されました。また、基幹定点の報告として無菌性髄膜炎が1件、マイコプラズマ肺炎が5件報告されました。

CRE感染症は、グラム陰性菌による感染症の治療において重要な抗菌薬であるメロペネムなどのカルバペネム系抗菌薬等に対して耐性を示す腸内細菌科細菌による感染症の総称です。主に感染防御機能の低下した患者や外科手術後の患者、抗菌薬を長期にわたって使用している患者などに感染症を起こします。肺炎などの呼吸器感染症、尿路感染症、敗血症、髄膜炎、その他多様な感染症を起こし、しばしば院内感染の原因となるほか、時に健常者に感染症を起こすこともあります。また無症状で腸管等に保菌されることもあります。CRE感染症は2014年9月19日より5類全数把握疾患に追加され、発症者のみが届出対象となっています。

CRE感染症をはじめとする耐性菌の増加は、抗菌薬の不適切な使用が原因となっており、近年その問題が提起されています。耐性菌の発生を防ぐためには、耐性菌の発生状況や抗菌薬の使用状況のサーベイランスとそれに基づくリスク評価、適切な感染管理等が重要であるとともに、府民のみなさんの御理解が不可欠です。医療機関で処方された抗菌薬の服用を中断すると耐性菌の発生を招きます。症状がなくなっても最後まできちんと飲みきりましょう。

 

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