京都府感染症情報センターからの情報

京都府感染症情報センターからのコメント

(2019年第38週:令和元年9月16日~令和元年9月22日)No.380

 

京都小児重症患者診療情報システム管理部 長村敏生

 

感染性胃腸炎は、定点あたり2.50件、RSウイルス感染症は、定点あたり1.75件報告がありました。伝染性紅斑は京都市伏見区で警報レベルとなっています。手足口病は、乙訓で定点あたり4.33件と警報レベルが続いています。咽頭結膜熱が京都市東山区で定点あたり7.00件と警報レベルとなっています。水痘が京都市左京区で注意報レベルとなっています。その他の感染症に大きな変化はありません。全数報告対象の感染症は、結核が6件、腸管出血性大腸菌感染症と侵襲性インフルエンザ菌感染症が1件、百日咳が3件報告されました。また、基幹定点からマイコプラズマ肺炎が3件、眼科定点から流行性角結膜炎が5件報告されました。

徐々にRSウイルス感染症の報告が増加しています。通常冬に流行するRSウイルス感染症ですが、年々流行の始まりが早くなる傾向にあります。国立感染症研究所の調べによると、全国の定点当たりの報告数が3週連続で増加しています。RSウイルス感染症は、多くの場合、発熱や鼻水などの軽症ですみますが、乳児や基礎疾患を持っている方では重症化する恐れがあります。大人でも何度も感染しますので「手洗い」、「うがい」、「マスク」といった基本的な感染予防対策をしっかり行ってください。

また、インフルエンザの定点当たりの報告も全国集計では、第31週以降増加が続いており、過去5年の同時期と比較しても多くなっています。十分に注意してください。

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京都府感染症情報センターからの情報

京都府感染症情報センターからのコメント

(2019年第37週:令和元年9月9日~令和元年9月15日)No.379

 

京都小児重症患者診療情報システム管理部 長村敏生

 

感染性胃腸炎は、定点あたり2.48件報告されています。RSウイルス感染症が増加し、定点あたり2.16件報告がありました。伝染性紅斑は、京都市左京区、伏見区で警報レベルとなっています。手足口病は、乙訓で定点あたり3.50件と警報レベルとなっています。水痘が、山城南、京都市右京区で注意報レベルとなっています。その他の感染症に大きな変化はありません。全数報告対象の感染症は、結核が8件、腸管出血性大腸菌感染症が2件、レジオネラ症とウイルス性肝炎が1件、百日咳が4件報告されました。また、基幹定点からマイコプラズマ肺炎が4件、眼科定点から流行性角結膜炎が9件報告されました。

京都府内の一部の地域で水痘の発生が報告されています。水痘は、例年冬から春にかけて増加する水痘帯状疱疹ウイルスというウイルスによって引き起こされる発疹性の病気です。

空気感染、飛沫感染、接触感染により広がり、潜伏期間は感染から2週間程度と言われています。発疹の発現する前から発熱が認められ、典型的な症例では、発疹は紅斑から始まり、水疱、膿疱を経て痂皮化して治癒するとされています。発疹出現後、大体6日間前後は感染性があるとされます。治療は、軽症例では対症療法が基本ですが、重症例や重症化のおそれのある場合抗ウイルス薬が使用されます。9歳以下での発症が90%以上を占めると言われています。合併症としては、皮疹への細菌感染、熱性痙攣、ウイルス性肺炎、脳炎、無菌性髄膜炎などがあります。成人での水痘も稀に見られますが、成人発症の場合、水痘そのものが重症化する危険が高いと言われています。

発症予防には、水痘ワクチン接種が有効です。1回の接種により重症の水痘をほぼ100%予防でき、2回の接種により軽傷の水痘も含めてその発症を予防できると考えられています。

平成26年より水痘ワクチンは定期接種となっていますので忘れずに接種しましょう。

 

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京都府感染症情報センターからのコメント

(2019年第36週:令和元年9月2日~令和元年9月8日)No.378

 

京都小児重症患者診療情報システム管理部 長村敏生

 

感染性胃腸炎は、定点あたり2.71件報告されています。RSウイルス感染症、手足口病もやや増加しています。伝染性紅斑は、山城北、京都市左京区、右京区、伏見区で警報レベルとなっています。手足口病は、乙訓で定点あたり6.75件と警報レベルとなっています。その他の感染症に大きな変化はありません。全数報告対象の感染症は、結核と腸管出血性大腸菌感染症が4件、レジオネラ症が1件、カルバペネム耐性腸内細菌感染症が3件が1件報告されました。また、基幹定点からマイコプラズマ肺炎が2件、眼科定点から流行性角結膜炎が11件報告されました。

レジオネラ症の原因となるレジオネラ菌は、水中や土の中に存在し、給湯設備や空調の冷却塔、加湿器のなかで増殖します。レジオネラ菌に汚染された目に見えないほど細かい水滴(エアロゾル)を吸い込むことで感染しますが、全員が発症するわけではありません。ヒト-ヒト感染はせず、日本では循環式浴槽における感染事例が多くを占めています。また、高齢者や糖尿病の患者など抵抗力の弱い人が感染しやすく、死亡率が高くなることが知られています。現在は、尿による迅速診断キットによって簡便に診断することができます。レジオネラ菌は、一般細菌の増殖の後にそれらを捕食するため増えたアメーバの中で増殖することが知られています。36℃前後で最も繁殖しますが、高温や塩素消毒で死滅します。したがって予防のためには、感染源となる給湯設備、冷却塔、浴場、加湿器などを清潔に保つことが重要で、さらに、20℃以下の低温もしくは45℃以上の高温にすることが効果的です。治療には、ニューキノロンやマクロライド系の抗菌薬が著効します。

 

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京都府感染症情報センターからのコメント

(2019年第35週:令和元年8月26日~令和元年9月1日)No.377

 

京都小児重症患者診療情報システム管理部 長村敏生

 

感染性胃腸炎は、定点あたり2.27件報告されています。伝染性紅斑は、乙訓、山城北、京都市左京区、伏見区で警報レベルとなっています。その他の感染症に大きな変化はありません。全数報告対象の感染症は、結核が7件、腸管出血性大腸菌感染症が4件、デング熱、侵襲性インフルエンザ菌感染症、侵襲性肺炎球菌感染症がそれぞれ1件報告されました。また、基幹定点からマイコプラズマ肺炎が1件、眼科定点から流行性角結膜炎が11件報告されました。

肺炎球菌は、小児、成人の肺炎、中耳炎、副鼻腔炎などの原因になります。成人の市中肺炎の20%は肺炎球菌が原因といわれていますが、大半は菌血症を伴いません。肺炎球菌は、ときに髄膜炎や菌血症を伴う肺炎を引き起こすことがあり、侵襲性肺炎球菌感染症とよばれます。

予防には、うがい・手洗い・マスクといった日常の予防やワクチン接種が有効です。侵襲性肺炎球菌感染症は、小児と65歳以上の高齢者に多く、これらの好発年齢層には、肺炎球菌ワクチンによる予防接種が実施されています。小児に対しては、沈降13価肺炎球菌結合型ワクチンが、65歳以上の成人には23価肺炎球菌莢膜ポリサッカライドワクチンが接種されています。

 

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京都府感染症情報センターからのコメント

(2019年第34週:令和元年8月19日~令和元年8月25日)No.376

 

京都小児重症患者診療情報システム管理部 長村敏生

 

感染性胃腸炎は、定点あたり2.23件報告されています。伝染性紅斑は、乙訓、山城北、京都市左京区、南区で警報レベルとなっています。全数報告対象の感染症は、結核が8件、腸管出血性大腸菌感染症が2件、デング熱、アメーバ赤痢、ウイルス性肝炎、カルバベネム耐性腸内細菌感染症、急性脳炎、後天性免疫不全症候群及び侵襲性インフルエンザ菌感染症がそれぞれ1件、百日咳が3件報告されました。また、基幹定点から無菌性髄膜炎が1件、眼科定点から流行性角結膜炎が6件報告されました。

先週に引き続き、腸管出血性大腸菌感染症、デング熱の報告がありました。腸管出血性大腸菌感染症は、例年5月頃から10月頃までが流行期とされています。腸管出血性大腸菌は、汚染された水や食品(生肉、野菜など)などを介して経口感染し、またわずか50個ほどの菌で感染しうるため、患者や保菌者の便からの二次感染にも注意が必要です。感染者のうち6-7%で溶血性尿毒症症候群(HUS)や脳症を発症し、致死率は1-5%に至ります。予防対策として、食肉の十分な加熱処理が最も重要ですが、調理器具の十分な消毒や洗浄、調理や食事前の手洗いの励行も大切です。

デング熱は、蚊が媒介するウイルス感染症で、3~7日の潜伏期間の後に突然の発熱で発症し、筋肉痛、関節痛、眼の奥の痛みを伴います。体幹から拡がる発疹を伴い、7日間ほどの経過で改善することが多いです。症例の多くは、熱帯・亜熱帯地域(特に東南アジア、南アジア、中南米、カリブ海諸国)への海外渡航時に感染したものですが、国内にもデングウイルスを媒介する蚊がいますので、注意が必要です。デングウイルスに対する抗ウイルス薬は無く、症状に応じて鎮痛剤の投与や輸液が行われます。またワクチンもないため、蚊に刺されないように予防対策をすることが重要となります。

 

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(2019年第33週:令和元年8月12日~令和元年8月18日)No.375

 

京都小児重症患者診療情報システム管理部 長村敏生

 

感染性胃腸炎は、定点あたり1.61件報告されています。手足口病は、乙訓と京都市伏見区のみ引き続き警報レベルとなっています。全数報告対象の感染症は、結核が6件、腸管出血性大腸菌感染症が1件、デング熱が1件、レジオネラ症が2件、侵襲性インフルエンザ菌感染症が1件、百日咳が2件報告されました。また、基幹定点から無菌性髄膜炎が1件、眼科定点から流行性角結膜炎が3件報告されました。

侵襲性インフルエンザ菌感染症の報告がありました。侵襲性インフルエンザ菌感染症は、グラム陰性短桿菌であるインフルエンザ菌が血液や髄液から検出されるものです。インフルエンザ菌は、幼児と高齢者に多くみられ、小児では保菌率が高く髄膜炎、敗血症、中耳炎、副鼻腔炎等の原因となることが知られています。我が国では、2008年12月にHibワクチンの任意接種がはじまり、2013年4月の予防接種法改正にともない定期接種のひとつとなっています。Hibワクチンが定期接種となってから、侵襲性インフルエンザ菌感染症(主に髄膜炎)は減少傾向にあります。小児だけでなく成人、とくに高齢者など高リスクの方はワクチン接種を行い重症肺炎の予防を行うことが必要です。

 

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京都府感染症情報センターからのコメント

(2019年第32週:令和元年8月5日~令和元年8月11日)No.374

 

京都小児重症患者診療情報システム管理部 長村敏生

 

感染性胃腸炎は、定点あたり2.72件、手足口病は、1.36件と報告されています。手足口病は、乙訓と京都市伏見区のみ引き続き警報レベルとなっています。伝染性紅斑は、乙訓、京都市左京区、南区、右京区、伏見区で警報レベルとなっています。咽頭結膜熱が、乙訓で定点あたり3.75件と警報レベルとなっています。全数報告対象の感染症は、結核が11件、カルバペネム耐性腸内細菌科腸内細菌感染症・劇症型溶血性レンサ球菌感染症・侵襲性肺炎球菌感染症・播種性クリプトコックス症と風しんがそれぞれ1件、百日咳が4件報告されました。また、眼科定点の報告として、流行性角結膜炎が4件報告されました。

百日咳は、けいれん性の咳発作を特徴とする5類感染症であり、主に小児期にみられます。しかし、ワクチン接種をしていない方や、接種後免疫の低下した成人でも発症がみられるため注意が必要です。近年の特徴として、小学校高学年以上の患者が増加しており、2019年30週の全国の報告でも10代が105例と最も多くなっています。

2017年12月31日までは、指定届出機関である全国約3,000カ所の小児科定点医療機関が週毎に保健所に届け出なければならないとされていましたが、2018年1月1日から、適切な検査診断で百日咳と診断された症例は年齢を問わず全数把握疾患として報告するようにと改正されました。診断した医師は、都道府県知事に対して、患者の年齢、性別等を7日以内に届け出なければならないとされていますのでご協力お願いします。また、学校保健安全法では、第2種感染症に指定されており、咳が止まるまで、もしくは5日間の適正な抗菌薬治療が終了するまでは出席停止となっています。

 

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(2019年第31週:令和元年7月29日~令和元年8月4日)No.373

 

京都小児重症患者診療情報システム管理部 長村敏生

 

手足口病は、定点あたり2.70件となりました。南丹、乙訓のほか京都市左京区、中京区、山科区、南区、右京区、伏見区、西京区で警報レベルとなっています。伝染性紅斑は、引き続き、乙訓、京都市左京区、右京区、上京区、伏見区で警報レベルとなっています。A群溶血性レンサ球菌咽頭炎が中丹西で引き続き警報レベルとなっています。全数報告対象の感染症は、結核が4件、腸管出血性大腸菌感染症が1件、A型肝炎とレジオネラ症が1件、百日咳が4件報告されました。また、基幹定点の報告として無菌性髄膜炎とロタウイルスによる感染性胃腸炎がそれぞれ1件報告されました。眼科定点の報告として、流行性角結膜炎が9件報告されました。

レジオネラ症の報告数が年々増加しています。2017年の報告数は全国で1700件を越えており、現在の調査方法となった1999年以降最多でした。ここ10年で約2.5倍に増加しています。レジオネラ菌は、水中や土の中に存在し、給湯設備や空調の冷却塔、加湿器のなかで増殖します。特に高齢者や糖尿病などに罹患した患者など抵抗力の少ない人で感染が起こりやすく、死亡率が高くなることが知られています。水滴とともに吸入することで感染し、発熱や肺炎を発症します。レジオネラ菌は36度前後で最も繁殖しますが、高温や塩素消毒で死滅します。予防として、感染源となる給湯系、冷却塔、浴場、加湿器などの、水環境に対する衛生管理が重要です。治療には、ニューキノロンやマクロライド系の抗菌薬が著効します。

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(2019年第30週:令和元年7月22日~令和元年7月28日)No.372

 

京都小児重症患者診療情報システム管理部 長村敏生

 

手足口病は、先週よりさらに減少し、定点あたり4.53件と報告されましたが、府全体としては、依然警報レベルにあります。地域ごとに見ると、山城南、中丹西、中丹東、丹後、京都市北区、東山区、下京区以外の地域で警報レベルとなっています。伝染性紅斑は、引き続き、乙訓、京都市左京区、上京区、南区、伏見区で警報レベルとなっています。A群溶血性レンサ球菌咽頭炎が中丹西で、引き続き警報レベルとなっています。全数報告対象の感染症は、結核が5件、腸管出血性大腸菌感染症が1件、デング熱とレジオネラ症が1件、百日咳が4件報告されました。また、基幹定点から無菌性髄膜炎が1件、眼科定点から流行性角結膜炎が8件報告されました。

デング熱の報告がありました。デング熱は、主に海外でみられる、蚊により媒介される疾患で、決して死亡率は高くありませんが、まれにデング出血熱など重症化して死に至ることがあります。海外に行かれる際は、特に、デング熱、ジカウイルス感染症、マラリア、チクングニア熱など、蚊媒介感染症への対策に御留意ください。具体的には、野外活動では長袖・長ズボンを着用し、素足でのサンダル履きは避け、虫除け剤を使用して蚊に刺されないような対応が必要です。

また先週に引き続き、京都府全地域において食中毒注意報が発令されています。高温多湿の気候が続いており、食中毒が発生しやすい環境となっています。食中毒の原因となる菌を増加させないよう、手洗い、低温管理、消毒、加熱調理を心がけてください。特に報告が続いている腸管出血性大腸菌は、少量の菌で食中毒の原因となり、重症化する危険もありますので十分注意してください。

 

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(2019年第29週:令和元年7月15日~令和元年7月21日)No.371

 

京都小児重症患者診療情報システム管理部 長村敏生

 

手足口病は、先週よりさらに減少し定点あたり6.66件と報告されましたが、府全体としては依然、警報レベルにあります。地域ごとに見ると、丹後、京都市北区、下京区以外のすべての地域で警報レベルとなっています。伝染性紅斑は、引き続き乙訓、京都市左京区、上京区、南区、伏見区で警報レベルとなっています。A群溶血性レンサ球菌咽頭炎が、中丹西で引き続き警報レベルとなっています。京都市右京区では、水痘が警報レベルとなっています。全数報告対象の感染症は、結核が7件、腸管出血性大腸菌感染症が6件、E型肝炎が1件、カルバペネム耐性腸内細菌感染症・劇症型溶血性レンサ球菌感染症とバンコマイシン耐性腸球菌感染症がそれぞれ1件、百日咳が2件報告されました。また、基幹定点から無菌性髄膜炎が4件、マイコプラズマ肺炎が1件、眼科定点から流行性角結膜炎が1件報告されました。

7月23日京都府全地域において食中毒注意報が発令されました。高温多湿の気候が続いており食中毒が発生しやすい環境となっています。食中毒の原因となる菌を増加させないよう、手洗い、低温管理、消毒、加熱調理を心がけてください。特に大腸菌は少量の菌で食中毒の原因となりますので十分注意してください。

 

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