京都府感染症情報センターからの情報

京都府感染症情報センターからのコメント

(2018年第52週:平成30年12月24日~12月30日

2019年第1週:平成30年12月31日~平成31年1月6日)No.344

 

京都小児重症患者診療情報システム管理部 長村敏生

 

インフルエンザの報告数が定点あたり14.72件と急激に増加し、京都府は注意報レベルに入りました。山城北、山城南ではそれぞれ定点あたり32.63件、39.00件とで警報レベルとなっています。また中丹東をのぞく全地域と京都市北区、上京区、中京区、下京区、南区で注意報レベルとなっています。感染性胃腸炎は、定点当たり報告数は2.32件と減少しています。水痘は、乙訓で定点あたり1.00件と注意報レベルとなっています。

全数報告対象の感染症は、結核が2件、劇症型溶血性レンサ球菌感染症と後天性免疫不全症候群がそれぞれ1件 、侵襲性肺炎球菌感染症が2件報告されました。また、期間定点の報告としてロタウイルスによる感染性胃腸炎が1件、眼科定点の報告として、流行性角結膜炎が2件報告されました。

インフルエンザの報告数が2019年に入り急増しています。報告はほとんどがA型です。1月6日現在、府内での学級閉鎖は延べ10校となっています。発熱に加えて咳などの上気道炎・呼吸器症状のある方は、咳エチケットやマスク着用などの対策を行い、早めに医療機関を受診しましょう。免疫力が低下している方、高齢者、乳幼児は特に気をつけてください。医療機関にお勤めの皆様も、咳エチケット・マスク着用や手洗いなど、インフルエンザを含む感染症の予防対策について周知徹底をお願いいたします。新規治療薬など治療法の進歩やワクチンの効果も期待できますが、感染拡大予防の第一歩はこれらの徹底です。

京都府感染症情報センターホームページのアドレス

http://www.pref.kyoto.jp/idsc/

京都府感染症情報センターからの情報

京都府感染症情報センターからのコメント

(2018年第51週:平成30年12月17日~12月23日)No.343

 

京都小児重症患者診療情報システム管理部 長村敏生

 

インフルエンザの報告数が定点あたり3.79件と増加しています。山城南では、定点あたり10.00件で注意報レベルとなっています。感染性胃腸炎も定点当たり報告数は7.74件と今週も増加しています。水痘は定点あたり0.47件、乙訓、南丹、京都市西京区、伏見区で注意報レベルとなっています。

全数報告対象の感染症は、結核が4件、腸管出血性大腸菌感染症が1件、アメーバ赤痢とカルバペネム耐性腸内細菌感染症がそれぞれ1件、百日咳が7件報告されました。また、眼科定点の報告として、流行性角結膜炎が5件報告されました。

インフルエンザの報告数が増加しています。インフルエンザウイルスで耳にするH3N2やH1N1といった分類はA型インフルエンザのタイプを表しています。これらはウイルスの表面に存在する糖蛋白違いをあらわし、HAは16種類、NAは9種類が報告されています。この組み合わせによってヒト、ブタ、トリなどに分布しています。これまでにヒトで流行をみせたものはH1(H1N1:ソ連型)、H2、H3(H3N2:A香港型)の亜型のウイルスのみです。

カモは、現在知られているHA亜型とNA亜型のすべてのウイルスを保有しておりいわゆる自然宿主とされています。これらのウイルスが家畜やヒトでのウイルスの供給源となり毎年新しい流行を起こします。

ウイルスはヒトに感染した際も絶えず変異を起こすため、毎年流行をみせることになり、1シーズンの間にA型とB型に2度感染することや、A型のなかでも異なる亜型のウイルスに再感染することがあります。ワクチン接種をしていても、また一度感染していても感染のリスクはあるため予防を徹底しましょう。

 

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京都府感染症情報センターからのコメント

(2018年第50週:平成30年12月10日~12月16日)No.342

 

京都小児重症患者診療情報システム管理部 長村敏生

 

感染性胃腸炎の京都府全体での定点当たり報告数は、7.32件と今週も増加しています。インフルエンザは、定点あたり1.05件となりました。水痘は、定点あたり0.58件、乙訓で警報レベル、南丹、京都市中京区、右京区、南区で注意報レベルとなっています。

全数報告対象の感染症は、結核が11件、腸管出血性大腸菌感染症が1件、レジオネラ症が1件、アメーバ赤痢とカルバペネム耐性腸内細菌感染症がそれぞれ1件 、侵襲性肺炎球菌感染症が4件、百日咳が6件、風しんが2件報告されました。また、眼科定点の報告として、流行性角結膜炎が4件報告されました。

今週の感染症発生動向調査の結果にて、京都府のインフルエンザの報告数が定点あたり1.05件と流行開始の目安となる1.00件を上回り、流行期に入りました。地域別にみても、南丹、中丹東、中丹西を除くすべての地域で流行期に入っています。予防接種は、感染を予防するものではありません。加湿、マスク、うがい、手洗いなどの基本的な予防が重要となります。体調の悪い時は人ごみへの外出は控えましょう。過労や睡眠不足は免疫力低下を招き感染のリスクが高まります。新薬が加わり治療の選択肢が増えていますが、感染予防、拡大予防に努めてください。

 

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京都府感染症情報センターからのコメント

(2018年第49週:平成30年12月3日~12月9日)No.341

 

京都小児重症患者診療情報システム管理部 長村敏生

 

感染性胃腸炎の京都府全体での定点当たり報告数は、5.76件と増加しています。インフルエンザは、定点あたり0.62件報告されました。伝染性紅斑が定点あたり0.37件報告されています。京都市右京区では定点あたり2.22件と警報レベルとなっています。水痘は南丹、京都市左京区、右京区、下京区で注意報レベルとなっています。

全数報告対象の感染症は、結核が6件、腸管出血性大腸菌感染症が1件、レジオネラ症が1件、カルバペネム耐性腸内細菌感染症、急性弛緩性麻痺と侵襲性肺炎球菌感染症がそれぞれ1件、風しんと麻しんがそれぞれ2件、百日咳が3件報告されました。また、基幹定点から、マイコプラズマ肺炎が1件、眼科定点から、流行性角結膜炎が4件報告されました。

急性弛緩性麻痺の報告がありました。急性弛緩性麻痺は、ウイルスなどの種々の病原体の感染により弛緩性の運動麻痺症状を呈する感染症と定義され、多くは何らかの先行感染を伴い、手足や呼吸筋などに筋緊張の低下、筋力低下、深部腱反射の減弱ないし消失、筋萎縮などの急性の弛緩性の運動麻痺症状を呈します。

急性弛緩性麻痺の概念には、急性弛緩性脊髄炎、急性脳脊髄炎、急性脊髄炎、ギラン・バレー症候群、急性横断性脊髄炎、Hopkins症候群等も含まれ感染症法では、①15歳未満 ②急性の弛緩性の運動麻痺症状を伴って死亡した者、又は当該症状が24時間以上消失しなかった者 ③明らかに感染性でない血管障害、腫瘍、外傷、代謝障害などでないこと、及び痙性麻痺でないことをすべて満たした場合に届け出が必要となります。診断には血液、髄液、呼吸器由来検体、便、尿が必要です。詳しい届出方法や検体採取についてはホームページを参考にしてください。

 

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京都府感染症情報センターからのコメント

(2018年第48週:平成30年11月26日~12月2日)No.340

 

京都小児重症患者診療情報システム管理部 長村敏生

 

感染性胃腸炎の京都府全体での定点当たり報告数は5.42件と増加しています。またインフルエンザが定点あたり0.57件報告されました。その他の感染症は先週から著変ありません。先週までの京都市左京区に加え、西京区、伏見区、乙訓でも水痘が注意報レベルとなっています。

全数報告対象の感染症は、結核が6件、クロイツフェルト・ヤコブ病と風しんがそれぞれ1件、侵襲性肺炎球菌感染症が3件、百日咳が4件報告されました。また、基幹定点の報告として、マイコプラズマ肺炎が1件、流行性角結膜炎が1件報告されました。

水痘の報告が続いています。例年冬から春にかけて増加しています。水痘は水痘帯状疱疹ウイルスというウイルスによって引き起こされる発疹性の病気です。空気感染、飛沫感染、接触感染により広がり、潜伏期間は感染から2週間程度と言われています。発疹の発現する前から発熱が認められ、典型的な症例では、発疹は紅斑から始まり、水疱、膿疱を経て痂皮化して治癒するとされています。発疹出現後、大体6日間前後は感染性があるとされます。治療は軽症例では対症療法が基本ですが、重症例や重症化のおそれのある場合抗ウイルス薬が使用されます。9歳以下での発症が90%以上を占めると言われています。合併症としては、皮疹への細菌感染、熱性痙攣、ウイルス性肺炎、脳炎、無菌性髄膜炎などがあります。成人での水痘も稀に見られますが、成人発症の場合、水痘そのものが重症化する危険が高いと言われています。2014年10月、1-2歳で2回の水痘ワクチン接種が定期接種に導入されました。定期接種に導入後、定点あたり年間報告数は2000-2011年平均に比べ、2017年時点では全体で77 %、<1歳、1-4歳は88%減少したと報告されています。ワクチン接種をした方も感染者との接触に注意してください。

 

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京都府感染症情報センターからのコメント

(2018年第47週:平成30年11月19日~11月25日)No.339

 

京都小児重症患者診療情報システム管理部 長村敏生

 

感染性胃腸炎の京都府全体での定点当たり報告数は3.97件となっています。その他の感染症は、先週から著変ありません。京都市左京区で水痘が注意報レベルとなっています。

全数報告対象の感染症は、結核が6件、つつが虫病とレジオネラ症がそれぞれ1件、カルバペネム耐性腸内細菌感染症が2件、百日咳が1件報告されました。また、基幹定点から、マイコプラズマ肺炎が1件、眼科定点から流行性角結膜炎が7件報告されました。

今週、つつが虫病が一件報告されました。つつが虫病は、野山でツツガムシというダニに吸着され、リケッチアという細菌の一種に感染することで発症します。つつが虫病では、ダニの吸着後1~2週間してから39度以上の高熱で発症し、ついで体幹を中心として発疹がみられるようになります。頭痛、倦怠感、肝機能検査異常をともなうことが多く、重症例では播種性血管内凝固症候群という合併症をきたし生命に関わる場合があります。

ダニの刺し口は特徴的で黒いかさぶたがついたようになっており、発疹とともにつつが虫病を疑うきっかけになります。なお、つつが虫病は東南アジアなど他地域でも発生しており、海外で感染することもあります。

 

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京都府感染症情報センターからのコメント

(2018年第46週:平成30年11月12日~11月18日)No.338

 

京都小児重症患者診療情報システム管理部 長村敏生

 

感染性胃腸炎の京都府全体での定点当たり報告数は5.04件となっています。その他の感染症は先週から著変ありません。京都市左京区で感染性胃腸炎が定点あたり21.00件と先週に続き警報レベルとなっています。また、乙訓と左京区では水痘が注意報レベルとなっています。

全数報告対象の感染症は、結核が12件、カルバペネム耐性腸内細菌感染症と 風しんがそれぞれ1件、侵襲性肺炎球菌感染症が2件、百日咳が3件報告されました。また、基幹定点の報告として、マイコプラズマ肺炎が1件、流行性角結膜炎が7件報告されました。

今年流行拡大をみせている風疹の患者数が、全国で2032人となり2012-13年以来となりました。1週間当たりの新規患者数は139人と3週連続で減少していますが、大阪府や福岡県では、まだ増加しており注意が必要です。

 

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(2018年第44週:平成30年10月29日~11月4日)No.336

 

京都小児重症患者診療情報システム管理部 長村敏生

 

感染性胃腸炎の京都府全体での定点当たり報告数は3.14件、その他の感染症は先週から著変ありません。

全数報告対象の感染症は、結核が12件、腸管出血性大腸菌感染症が1件、カルバペネム耐性腸内細菌感染症が3件 、侵襲性インフルエンザ菌感染症・侵襲性肺炎球菌感染症と百日咳がそれぞれ1件 、風しんが2件報告されました。また、基幹定点の報告として、マイコプラズマ肺炎が2件、流行性角結膜炎が8件報告されました。

侵襲性インフルエンザ菌感染症の報告がありました。侵襲性インフルエンザ菌感染症はグラム陰性短桿菌であるインフルエンザ菌が血液や髄液から検出されるものです。インフルエンザ桿菌は幼児と高齢者に多くみられますが、小児では保菌率が高く髄膜炎、敗血症、中耳炎、副鼻腔炎等の原因となることがしられています。我が国では2008年12月にHibワクチンの任意接種がはじまり、2013年4月の予防接種法改正にともない定期接種のひとつとなっています。Hibワクチンが定期接種となってから侵襲性インフルエンザ感染症(主に髄膜炎)は減少傾向にあります。小児だけでなく成人、とくに高齢者でも高リスクの方はワクチン接種を行い重症肺炎の予防を行うことが必要です。

Hibワクチンについて (感染症情報センター)

 

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(2018年第43週:平成30年10月22日~10月28日)No.335

 

京都小児重症患者診療情報システム管理部 長村敏生

 

感染性胃腸炎の京都府全体での定点当たり報告数は、3.48件と微増、その他の感染症は先週から著変ありません。乙訓では、水痘が定点あたり1.25件とかわらず注意報レベルとなっています。

全数報告対象の感染症は、結核が11件、細菌性赤痢と腸管出血性大腸菌感染症がそれぞれ1件、A型肝炎・重症熱性血小板減少症候群とマラリアがそれぞれ1件、アメーバ赤痢・カルバペネム耐性腸内細菌感染症・水痘(入院例)がそれぞれ1件、百日咳が 3件、風しんが2件報告されました。また、基幹定点の報告として、流行性角結膜炎が12件報告されました。

今週は、細菌性赤痢や腸管出血性大腸菌感染症、A型肝炎、アメーバ赤痢と食中毒の原因となる疾患が多数報告されました。近年は季節を問わずこれらの感染症の報告がされており注意が必要です。食材の管理や調理方法、生食を避けるなど十分注意してください。また他の感染症予防のためにも食事前後、排便後の手洗いを入念に行ってください。

今週も引き続き風疹の報告がありました。繰り返しになりますが抗体確認、ワクチン接種をお願いします。また、重症熱性血小板減少症やマラリアなどダニ、蚊が媒介する疾患も報告されています。発熱や発疹を見た際はこれらの疾患も念頭に置いて対処をお願いします。

 

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京都府感染症情報センターからのコメント

(2018年第42週:平成30年10月15日~10月21日)No.334

 

京都小児重症患者診療情報システム管理部 長村敏生

 

感染性胃腸炎の京都府全体での定点当たり報告数は、2.90件と微増、その他の感染症も先週から減少しています。乙訓で水痘が定点あたり1.25件、京都市下京区で1.00件発生しており注意報レベルとなっています。

全数報告対象の感染症は、結核が15件、レジオネラ症が2件、急性弛緩性麻痺・侵襲性肺炎球菌感染症と風しんがそれぞれ1件、百日咳が3件報告されました。また、基幹定点の報告として、細菌性髄膜炎が1件、マイコプラズマ肺炎が3件、流行性角結膜炎が8件報告されました。

10月23日に国立感染症研究所から「風疹流行に関する緊急情報」が発表されました。2018年の1-41週までの風疹患者累積報告数は1289人となり2013年、2012年に次いで過去3番目に多い報告数となっています。人口100万人あたりの患者報告数は、全国で10.1人となり千葉県の37.6人を筆頭に東京都、神奈川県、茨城県、埼玉県と続いています。首都圏での風疹報告者数が増加する一方で、それ以外の地域からの報告も増加しており、41週時点で報告がない県は6県のみです。報告された風疹患者の症状のうち、発熱、発疹、リンパ節腫脹の3主徴すべてが報告されたのは54%でした。患者の96%が成人で男性は女性の5倍と多く、そのうち63%を30-40代が占めていました。一方女性全体の59%が妊娠出産年齢である20-30代であり、先天性風疹症候群が危惧されます。毎年行われている感染症流行予測調査の2017年度の結果では、妊娠出産年齢の女性の抗体保有率は95%以上と高いですが、妊婦のウイルス感染には注意が必要です。風疹はワクチンで予防可能な感染症です。積極的に検査、接種をお願いします。

 

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