京都府感染症情報センターからのコメント(2017年第29週:7月17~23日) No.269
京都小児重症患者診療情報システム管理部 長村敏生
手足口病は先週の6.71件から5.48件とやや減少しています。しかし、中丹西と丹後を除く地域で警報レベルが続いていますので、引き続き感染拡大に注意してください。京都市内でも北区、上京区、下京区、東山区以外のすべての区で警報レベルとなっています。
感染性胃腸炎は定点あたり3.88件と引き続き減少しています。流行性耳下腺炎、A群溶血性レンサ球菌咽頭炎、咽頭結膜熱(プール熱)、ヘルパンギーナの発生数は特に変化はありません。
全数報告対象の感染症は腸管出血性大腸菌感染症が2件、アメーバ赤痢が 2件、クロイツフェルト・ヤコブ病・後天性免疫不全症候群と梅毒がそれぞれ1件 報告されました。また、基幹定点からマイコプラズマ肺炎が1件、眼科定点から流行性角結膜炎が10件報告されています。
先週に引き続き、マダニ感染症の報告がありました。重症熱性血小板減少症候群(SFTS)はダニ媒介感染症の中で、ツツガムシ病、日本紅斑熱に次いで患者数の多い疾患です。SFTSの原因となるウイルスを媒介する種類のマダニが多く生息する西日本で主に報告されています。ウイルスに感染すると、6日~2週間の潜伏期を経て、発熱、消化器症状(食欲低下、嘔気、嘔吐、下痢、腹痛)が現れ、その他頭痛、筋肉痛、意識障害や失語などの神経症状、リンパ節腫脹、皮下出血や下血などの出血症状などを起こします。致死率は6.3-30%と報告されています。マダニに咬まれることによる感染のほか、感染患者の体液を介して感染することが知られています。感染予防のため、マダニに刺されないようにすることが重要です。また、マダニが付着している可能性がある野生動物との接触にも注意してください。
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